これまでは、経営者が進んで発信する必要はなかったかもしれない。
何かを宣伝したければ広告代理店に頼んで各メディアに情報を流せばよかったし、募集要項を公開すれば求職者から応募があった。経営者が計画を立てれば組織は動いたし、きちんと利益を上げていれば投資が集まった。
しかし、時代は変わった。マスメディアを通じた企業のコミュニケーションはうまく機能せず、採用やマネジメントも一筋縄ではいかない。投資家たちの意思決定にも、業績の見通しだけでなく「経営者の思い」や「企業が実現しようとする未来像」が関わるようになってきている。
つまり、これまでのような、マスメディアを通した「会社を主語にした発信」では、想定している効果が得られなくなっているのだ。
では、何が必要なのか? 答えは、経営者が前に出ることだ。経営者自身がメディアになり、個人として声を発することで、共感を喚起する必要がある。
次項から、経営者が発信することのメリットを5つ解説したい。
1つ目は「知名度が上がる」だ。現代においては、どんなにいい会社でも、どんなにいい事業をやっていたとしても、ネット上に情報がなければ「存在しない」ようなものだ。
発信を続ければ露出が増える。Xの発信やnoteの記事が話題になると、ほかのWEBメディアから取材が来たり、ラジオやテレビへの出演が決まったり、出版を依頼されたりする。さまざまな媒体に露出する機会を得られれば、知名度はどんどん上がっていくだろう。
2つ目のメリットは「会社のファンができていく」だ。
今の日本においては、商品やサービスの品質は高いのが当たり前であり、品質で差別化するのは難しい。競合の中から選ばれるには、自社に対して「好き」「応援したい」という気持ちを持ってもらう必要がある。
「好き」「応援したい」という気持ちを抱かせるために効果的なのが「経営者の言葉」だ。経営者が自分の言葉を発信していると、消費者・ユーザーは自然とその熱を受け取ってファンになり、その会社の商品・サービスを選んでくれるようになるはずだ。
3つ目のメリットは「採用の量と質が上がる」だ。
サイバーエージェントの藤田晋さんは創業当初からブログを書いていた。そのブログを読み、サイバーエージェントへの入社を希望した人がたくさんいるという。
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