社長の言葉はなぜ届かないのか?

経営者のための情報発信入門
未読
社長の言葉はなぜ届かないのか?
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社長の言葉はなぜ届かないのか?
ジャンル
出版社
総合法令出版

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出版日
2024年10月23日
評点
総合
3.8
明瞭性
3.5
革新性
4.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

「社長の言葉はなぜ届かないのか?」――この書名を見てドキッとしない「社長」はほとんどいないだろう。きっとたいていの人が、自分の言葉がメンバーに届いていないと感じた経験があるはずだ。

本書の著者、竹村俊助氏は、ダイヤモンド社などで多くのベストセラーを制作してきた編集者だ。現在は「顧問編集者」として、上場企業からスタートアップ企業まで、30社近くの経営者の発信に伴走している。その主な仕事は、週に1回、経営者に1時間ほど取材をし、Xやnoteのコンテンツをつくることだ。

そんな竹村氏は本書で「発信をせずに会社や経営者や経営者の人格がまったく知られていない状態」は「リスク」だと指摘する。そして、経営者個人が発信するメリットやコンテンツ制作のノウハウを丁寧にまとめている。

竹村氏によると、経営者個人が発信すべきメリットは5つ。知名度が上がる、会社のファンができていく、採用の量と質が上がる、社内のモチベーションが上がる、投資家・株主に届く、だ。どれも経営者にとって見逃せないメリットだろう。コストを抑えつつこれら5つを一度に叶えられる施策は、なかなか見当たらないように思う。

「Xやnoteのアカウントは持っているけれど、あくまで閲覧専門」「自分の名前や立場を明かして発信したことはない」という方も安心してほしい。竹村氏のノウハウが詰まった本書を読めば、どんな人でもすぐに発信をスタートできるはずだ。

著者

竹村俊助(たけむら しゅんすけ)
株式会社WORDS代表取締役。経営者の言語化・コンテンツ化をサポートする顧問編集者。これまでに識学、オークネット、ドリームインキュベータなどの上場企業からNOT A HOTELなどのスタートアップ企業まで、30社近くの経営者の発信をサポート。日本実業出版社、ダイヤモンド社等を経て2018年に独立。編集・ライティングを担当した書籍に『佐藤可士和の打ち合わせ』(佐藤可士和)、『福岡市を経営する』(高島宗一郎)、『リーダーの仮面』(安藤広大)などがある。著書に『書くのがしんどい』(PHP研究所)がある。
Xのアカウント:https://x.com/tshun423

本書の要点

  • 要点
    1
    経営者の発信には、知名度が上がる、会社のファンができていく、採用の量と質が上がる、社内のモチベーションが上がる、投資家・株主に届く、という5つのメリットがある。
  • 要点
    2
    情報過多な現代において、企業が発信すべきなのは「情報」ではなく「コンテンツ」、つまり「何かしら心が動くもの」だ。商品や会社の紹介、採用に関する記事であっても、編集次第でコンテンツになる。
  • 要点
    3
    これから勝てる企業は「推される」企業だ。推される企業になるためには、事業・プロダクトを磨いた上で、その事実を発信によって伝える必要がある。その裏にある思いやストーリーを伝えられればなおよい。

要約

経営者が発信するメリット

「経営者の思い」が共感を呼ぶ時代

これまでは、経営者が進んで発信する必要はなかったかもしれない。

何かを宣伝したければ広告代理店に頼んで各メディアに情報を流せばよかったし、募集要項を公開すれば求職者から応募があった。経営者が計画を立てれば組織は動いたし、きちんと利益を上げていれば投資が集まった。

しかし、時代は変わった。マスメディアを通じた企業のコミュニケーションはうまく機能せず、採用やマネジメントも一筋縄ではいかない。投資家たちの意思決定にも、業績の見通しだけでなく「経営者の思い」や「企業が実現しようとする未来像」が関わるようになってきている。

つまり、これまでのような、マスメディアを通した「会社を主語にした発信」では、想定している効果が得られなくなっているのだ。

では、何が必要なのか? 答えは、経営者が前に出ることだ。経営者自身がメディアになり、個人として声を発することで、共感を喚起する必要がある。

次項から、経営者が発信することのメリットを5つ解説したい。

メリット(1)知名度が上がる
Parradee Kietsirikul/gettyimages

1つ目は「知名度が上がる」だ。現代においては、どんなにいい会社でも、どんなにいい事業をやっていたとしても、ネット上に情報がなければ「存在しない」ようなものだ。

発信を続ければ露出が増える。Xの発信やnoteの記事が話題になると、ほかのWEBメディアから取材が来たり、ラジオやテレビへの出演が決まったり、出版を依頼されたりする。さまざまな媒体に露出する機会を得られれば、知名度はどんどん上がっていくだろう。

メリット(2)会社のファンができていく

2つ目のメリットは「会社のファンができていく」だ。

今の日本においては、商品やサービスの品質は高いのが当たり前であり、品質で差別化するのは難しい。競合の中から選ばれるには、自社に対して「好き」「応援したい」という気持ちを持ってもらう必要がある。

「好き」「応援したい」という気持ちを抱かせるために効果的なのが「経営者の言葉」だ。経営者が自分の言葉を発信していると、消費者・ユーザーは自然とその熱を受け取ってファンになり、その会社の商品・サービスを選んでくれるようになるはずだ。

メリット(3)採用の量と質が上がる

3つ目のメリットは「採用の量と質が上がる」だ。

サイバーエージェントの藤田晋さんは創業当初からブログを書いていた。そのブログを読み、サイバーエージェントへの入社を希望した人がたくさんいるという。

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要約公開日 2024.12.12
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