あなたが新規事業のアイデアや、ちょっとした業務改善を提案したとしよう。マネージャーや同僚が親身になって話を聞いてくれても、いざ実行に移そうとすると、「前例がないから」「それがうちのルールだから」と、まるで話が進まない。そんな経験はないだろうか。
こうした組織では、一人ひとりは優秀なのに、チームや組織という単位になるとギクシャクしてしまっていることが多い。この状況を放置すると、そこで働く人々の思考や行動、価値観も悪い方向へ変わっていってしまう。
組織がこのような状態になってしまう要因は、「みんながそうだから」という同調圧力や、「これまでもそうしてきたから」という慣習などによる暗黙の了解である。それはすなわち、組織の「体質」だ。
組織の体質は自力では改善しにくい。なぜなら組織の内部にいるとその異常さに気づきにくいからだ。「おかしい」と思う人がいても、人間関係や上下関係が声を上げにくくさせる。
組織を辞めていく人に対して「合わせられないほうが悪い」と考えるのは、「組織の体質に人が合わせている」状態だ。これを脱し、「人に合わせて体質を変える」必要がある。本書は現場から組織体質を変えていく方法を提案する。
では、組織はどのような体質を目指すべきなのだろうか。
実は、これは簡単にはいえない。そもそも体質の良し悪しは断言しにくいものだからだ。旧態依然とした昭和的スパルタ組織にも、年次にかかわらずフラットでオープンなコミュニケーションを行う組織にも、それぞれメリットとデメリットがある。組織として成果が出ており、人を傷つけたり法律に反したりしない限りは、いずれの体質も「アリ」なのだ。
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