仕事も人間関係もうまくいく

「気遣い」のキホン

未読
「気遣い」のキホン
仕事も人間関係もうまくいく
「気遣い」のキホン
未読
「気遣い」のキホン
出版社
出版日
2024年10月15日
評点
総合
3.7
明瞭性
4.0
革新性
3.0
応用性
4.0
要約全文を読むには
会員登録・ログインが必要です
本の購入はこちら
書籍情報を見る
本の購入はこちら
おすすめポイント

記者や取材ライターをしていると、仕事が多忙で優秀な人ほど「気遣い」できる人が多いと感じる。誰に対しても温かな挨拶をし、こちらの質問がたとえ拙くても、想像を及ばせて趣旨を的確にとらえたり、真摯に考えたりしてくれる。そんな素敵な対応をされると、こちらもより良い記事を書こうと奮起するものだ。

著者が本書で強調するように、「気遣い」のできる人は周囲に良い影響を伝播する。しかもそれを気負わず自然体でやってのけるから、一層輝いて見える。

そんな「気遣いの達人」になるのは難しく思えるが、元CA(客室乗務員)で人材教育のプロである著者が書いた本書を読むと、少しの心がけや言動の工夫でそこに近づけることに気づく。要約本文でも述べるように、「気遣い」は相手への「思い」を起点とする。本書には好印象を抱かれる会話や所作のコツが多数出てくるが、それはあくまで「相手に寄り添う気持ち」を効果的に伝える手段であることに注意したい。気持ちが伴わなければ自然でなくなり、自他にストレスをかけてしまうのは、著者の経験談でも明らかにされている。

本書は2014年刊行の作品に加筆・修正し、文庫化したものだ。それからコミュニケーションの手段は格段に広がったが、「気遣い」の本質が「相手への寄り添い」である点は変わらない。オンラインのやり取りが増えたからこそ「気遣い」のある言動は対面で際立つだろうし、オンラインでも声や文章に乗せて届けられる。その具体的な方策が豊富に盛り込まれた本書は、時代を経ても古びない「気遣い」の古典と呼べそうだ。

著者

三上ナナエ(みかみ ななえ)
新卒でオフィスシステム販売会社(現リコージャパン)に入社し、販売戦略の仕事に携わる。その後、ANA(全日本空輸)に客室乗務員(CA)として入社。チーフパーサー、グループリーダー、OJTインストラクター、客室部門方針策定メンバー、新卒採用支援を経験。フライト数は4,500回におよぶ。
ANA退社後は、研修講師として活動。接客・接遇・コミュニケーション力向上研修など、官公庁や民間企業、大学など多数で採用され、受講者総数は2万人以上。年間80回以上の研修を担当している。
主な著書に、『マンガでわかる! 仕事も人間関係もうまくいく「気遣い」のキホン』『気遣いできる人は知っている! 会話のキホン』『その気遣い、むしろ無礼になってます』(以上、すばる舎)、『「感じのいい女性」が使っている気遣いの魔法』(PHP研究所)、『ビジネストラブル脱出フレーズ80』(学研プラス)、『仕事の成果って、「報・連・相」で決まるんです。』(大和出版)などがある。
日本パーソナルカラー協会上級資格。

【三上ナナエ ホームページ】https://www.pro-manner.com/

本書の要点

  • 要点
    1
    本当の「気遣い」は相手を想像することから始まる。元CAの著者は新人時代、喪服姿の乗客にとっさに笑顔を消した先輩の姿から、挨拶は目的ではなく「気遣い」の手段であることを学んだ。
  • 要点
    2
    「気遣い」は相手に安心や信頼を与える行動だ。「表情管理」や「お伺いの姿勢」など、少しの工夫で相手に良い印象を与えることができる。
  • 要点
    3
    言いにくいことを言うときは、自分を主語にした「Iメッセージ」を使うといい。「本題」を「ねぎらい」や「励まし」で挟んで伝える手法も有効だ。

要約

【必読ポイント!】「気遣い」は「知る」ことから

「気遣い」とは相手の気持ちを想像すること

気遣いの「遣(つかう)」という漢字には、「思いを伝える」「心をはたらかせる」という意味があるという。他者の心情に思いをはせ、寄り添うのが「気遣い」なのだ。

著者が現役CA(客室乗務員)だったとき、お客様への気遣いが素晴らしい先輩がいた。いつもなら搭乗口でにこやかにお出迎えの挨拶をするところ、先輩は笑顔をすっと消した。その先を見ると、喪服姿のお客様が目に入った。そのお客様に向けて、先輩は静かに頭を下げて挨拶をしていたのだ。

挨拶は手段であって目的ではない。さまざまな境遇にいるお客様に対して想像を巡らせ、さりげない行動に思いを忍ばせる。新人CAだった著者は、その姿に「気遣い」の本質を見出した。

相手の気持ちを「早め」に察する
kali9/gettyimages

優秀な店員さんほど、お客様への声かけが早いという。最初に声をかける動作を「ファーストアクション」というが、これは買ってもらうためではなく、「相手を知るため」に行うのだという。

お客様の中には、マイペースで商品を見たい人もいれば、買う気満々で来る人もいる。相手の気持ちを早い段階で把握し、個々に合わせた対応をするには、ファーストアクションが重要だ。

相手に声をかけて、その反応を感じ取ること。「早め」のアクションは、何よりの「気遣い」なのである。

気遣いが空回りしてしまうとき

「気遣い」は、相手に褒められるためにするものではない。もし気を遣うことに疲れているのなら、それは「見返り」を求める気持ちが先行しているのかもしれない。

著者はかつて先輩CAに気を遣い過ぎて、余計なことをして怒られることがたびたびあった。「できない人」と思われたくないがために、先回りし過ぎていたのだ。

もっと見る
この続きを見るには...
残り3006/3743文字

3,400冊以上の要約が楽しめる

要約公開日 2024.12.19
Copyright © 2024 Flier Inc. All rights reserved.
一緒に読まれている要約
思い通りに速く書ける人の文章のスゴ技BEST100
思い通りに速く書ける人の文章のスゴ技BEST100
山口拓朗
未読
「悩まない人」の考え方
「悩まない人」の考え方
木下勝寿
未読
消耗せずに成果が出る「情報の捨て方」
消耗せずに成果が出る「情報の捨て方」
山本大平
未読
傷つきやすい人のための図太くなれる禅思考
傷つきやすい人のための図太くなれる禅思考
枡野俊明
未読
EXジャーニー 
EXジャーニー 
沢渡あまね石山恒貴伊達洋駆
未読
迷ったら、ゆずってみるとうまくいく
迷ったら、ゆずってみるとうまくいく
枡野俊明
未読
人はどう悩むのか
人はどう悩むのか
久坂部羊
未読
社長の言葉はなぜ届かないのか?
社長の言葉はなぜ届かないのか?
竹村俊助
未読