近年のビジネスシーンでは、メールやチャットを介したテキストベースのコミュニケーションが主流になっている。しかし、便利で効率的に思えるこの習慣が、かえってストレスを生み出している場合がある。
「お疲れ様です、資料のデータを送っていただけますか?」
「この問題、どうすればいいでしょうか?」
「田中部長、会議室の予約が済みました」
こうした、ちょっとした依頼や進捗報告、込み入った相談事、あるいは同意の返事や感謝の言葉などは、口頭で直接伝えたほうが早いはずだ。声をかけるだけなら10秒で済む要件も、テキストを打つと送信までに数分もかかってしまう。チャットは短文にすると誤解も生じやすく、トラブルさえ引き起こしかねない。
社外の人間に対しても同様だ。例えば新規案件を進めるとき、何往復もテキストだけで情報のラリーを行うのは非効率だ。「例の新規案件の進め方についてご相談なのですが、今お電話よろしいでしょうか?」とだけメッセージを送り電話で話したほうが、物事が早く進むし、お互いの認識にズレが生じない。
さらに、ここぞという重要な場面では相手に直接会いに行くべきだ。相手のもとに足を運び、お互い顔を突き合わせて話し合うと、表情や空気感といった「非言語コミュニケーション」が生まれ、より緊密な協力関係を築くことができる。
チャットやメールは「読んだら即レス」すべしという考えが、ビジネスマナーとして当然視され始めている。確かに、スムーズに仕事をするためには素早い返信が基本ではあるし、特にトラブル発生時には迅速な対応が鍵になる。だが、すべての連絡に即レスしようとするのは行き過ぎだ。自分の仕事が何度も中断され、集中できず、疲れやすくなる。
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