本書では「EXジャーニーマップ」として、EX(従業員体験)を13のプロセスに分類している。13のプロセスとはすなわち、日常接点、応募/募集、選考、採用/入社準備、オンボーディング、業務遂行、能力開発/人材育成、評価、異動/転勤、昇格/降格/役割変更、休職(育休・傷病・出向ほか)/復職、オフボーディング、退職後リレーションだ。13のプロセスにはそれぞれさまざまな「体験機会」が紐づいている。
要約では13のプロセスのうち、オンボーディング、業務遂行、休職/復職の3つを取り上げる。
オンボーディングの目的は、新入社員が会社に早くなじむことだ。仕事の知識を伝えるだけでなく、会社の文化や価値観を理解し、人間関係を築ける場として設計する必要がある。
オンボーディングが不十分だと、新入社員は孤立感や不安を感じ、すぐに退職してしまうかもしれない。新入社員が退職すると、採用コストの増加や仕事の遅れが発生し、チームの生産性が低下して、既存社員の士気が下がる。適切なオンボーディングプロセスの実施は、新入社員の成功だけでなく、会社全体の持続的な発展にも寄与するのだ。
本書では、オンボーディングにおける体験機会として、入社時オリエン、配属時オリエン、アサインメント、入社後フォローアップ、メンタリング、業務サポートの仕組みという6つの「体験機会」が挙げられているが、要約ではそのうち3つを取り上げる。
入社時のオリエンテーションでは、新入社員が必要な情報を得ながら、会社にスムーズに適応できるようサポートする。新入社員を既存社員に紹介し、既存社員の役割や経験を共有して、お互いの理解を深めよう。また、新入社員と既存社員が自然に交流できる場を提供し、良好な関係を築く基盤を作る。
オリエンテーションの進行方法は、会社の文化や価値観を反映したものにするとよい。たとえば、コミュニケーションを大切にする企業では、質問や意見交換を積極的に促す形式を取り入れる。
オリエンテーションは一度きりのイベントではない。今後のフォローについても説明し、新入社員が安心して新しい環境に臨めるように支援したいものだ。
新入社員が組織に受け入れられたと感じるまでには約3ヶ月、能力を発揮できるようになるまでには約6ヶ月かかるという研究がある。上司や同僚は、新入社員が成果を出せるようになるには時間がかかることを理解しなければならない。
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