著者の仕事はブックデザイナー。普通なら4〜5人で分担する仕事量を請け負って、自宅で20年以上ひとりで働き続けている。
自分のペースで仕事ができるなんてうらやましいと言ってもらえることもあるが、フリーランスは楽じゃない。多いときで年間200冊の本をデザインしているが、装丁(表紙・カバーまわり)だけの仕事だとしても、依頼から作業完了まで早くて3週間、通常で1ヵ月半〜2ヵ月かかる。これをだいたい30冊、多いときは50冊ほど同時進行している。
ひとりで仕事をしているから、誰にも頼れないし、ちょっとした雑用も全部自分でやらないといけない。わからないことを聞く相手もいないし、体調を崩しても納期を守るためになんとかするしかない。
フリーになって何年か経って、仕事が増えすぎて気づいたら毎日ボロボロで、全身がじんましんで腫れ上がって、救急病院に駆け込んだこともあった。もう仕事を減らすしかないかと思ったが、減らしたくなかった。その上で、映画も見たい、マンガも読みたい、ゲームもしたい、飲みにも行きたい。減らすのではなく、増やせるだけ増やしたい。
これを可能にする方法があった。その気づきを与えてくれたのは1本のゲームだった。
「時間をデザイン」しようと考えはじめるきっかけになったのは、ニンテンドーDSの「おいでよ どうぶつの森」というゲームだった。このゲームの発売日である2005年11月23日に手に入れて以来、およそ9年間、毎日やっていた。どれだけ忙しくても、旅行先でも、じんましんで病院に行った翌日も、毎日だ。
3,400冊以上の要約が楽しめる