さりげなく・嫌われずに「言い返す」力がつく本
さりげなく・嫌われずに「言い返す」力がつく本
さりげなく・嫌われずに「言い返す」力がつく本
出版社
出版日
2025年01月20日
評点
総合
3.5
明瞭性
3.5
革新性
3.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

思っていることを口に出せない。相手に気を遣いすぎてしまって、自分の意見を主張することができない。本書はそんな「いい人」「やさしい人」に向けて書かれた一冊だ。

著者の内藤誼人氏は「日常で役立つ心理学のテクニック」を、数々の著作を通して発表してきた人気心理学者だ。とくに社会心理学をベースにした「悩める現代人に寄り添ってくれる」アドバイスには定評がある。

本書では、「言いたいことを、つい我慢してしまう」人が、スムーズに自分の思いや意見を伝えるテクニックを教えてくれる。このタイプは、どんな場面でも相手を優先してしまう。「自分は自己主張ができないタイプ」と諦めているかもしれない。

特に難しいのは、相手に「反対」するときだろう。相手は気を悪くしないか、反対することで自分が責められるのではないか、そうなったら理由をちゃんと説明できるだろうか……と不安が渦巻いて、言葉をぐっと飲みこんでしまう。その結果、心にはモヤモヤが溜まっていく。

しかし、本書のテクニックを実行していけば、すんなり悩みを解消できるはずだ。なぜなら、「言いたいことを言う」のは習得可能な「スキル」であるからだ。

本書は日常のよくあるシーンを題材にしており、軽やかな文章で気負わず読める。どのトピックも海外の大学で実証された心理学的研究を基にしているため、信用度も抜群だ。

「言われっぱなし」を卒業したい人は、ぜひページをめくってほしい。頷きと共感の先に、希望の光が見えるはずだ。

ライター画像
矢羽野晶子

著者

内藤誼人(ないとう よしひと)
心理学者。立正大学客員教授。有限会社アンギルド代表取締役。
慶應義塾大学社会学研究科博士課程修了。
専門は説得コミュニケーション。社会心理学の知見をベースにした「自分の望む人生を手に入れる」ための具体的アドバイスには定評がある。
著書に『いちいち気にしない心が手に入る本』 『いちいち感情的にならない本』 『面白すぎて時間を忘れるサイコパスの謎』(以上、三笠書房《王様文庫》)、『世界最先端の研究が教える すごい心理学』(総合法令出版)、『「人たらし」のブラック心理術』(大和書房)、訳書にローレンス・アリソン、エミリー・アリソン著『RAPPORT 最強の心理術 謙虚なネズミが、独善的なライオンを動かす方法』(三笠書房)など多数がある。
Xアカウント:https://x.com/naitouyoshihito
YouTube:https://www.youtube.com/@naitouyoshihito

本書の要点

  • 要点
    1
    人にナメられないようにするには、まず服装などの「見た目」を整えよう。それだけで自信がつき、物おじしなくなる。
  • 要点
    2
    意見を言うときは「どうせ受け入れられない」と思ってはいけない。思考は現実になる。むしろ「拒絶されるなんてありえない」と思っていると、驚くほどすんなり受け入れられる。
  • 要点
    3
    相手の意見に反対したい場合は「質問」しよう。印象を悪くせず、相手自身に考えを促すことができる。
  • 要点
    4
    日常の挨拶をおろそかにしてはいけない。円滑なコミュニケーションは、たった一言の挨拶から始まる。

要約

モヤモヤを解消する

「ナメられない人」になる

人に侮られたり、軽く扱われたりしないようにするためには、まず「見た目」をきちんと整えることが大切である。見た目がちゃんとしていれば、私たちは案外堂々としていられるからだ。

このことを裏づける興味深い実験がある。オーストラリアにあるニューサウスウェールズ大学のカンディス・ブレイクが行った、自己主張に関する実験だ。

ブレイクは、159名の女子大学生をランダムに2つのグループに分けた。そして、片方のグループには「実験当日は魅力的な服装とメイクをしてくるように」、もう一方のグループには「家にいるときのような服装とノーメイクで」と伝えた。

その後、両グループに自己主張テストを行ったところ、見た目をばっちり整えてきたグループの方が高得点だった。

この実験結果から言えるのは、会話のテクニックを学ぶ前に、まず見た目を整えることが重要だということである。自信を持てるような恰好をするだけで、人は物おじしなくなり、言いたいことを言えるマインドセットができるのである。

「切り返しの言葉」を用意しておく
TrixiePhoto/gettyimages

「言われっぱなしで終わりたくない」と思うなら、切り返しの言葉をあらかじめ考え、リハーサルしておく必要がある。何ごとも「ぶっつけ本番」ではうまくいかない。

米国ウィスコンシン大学のリチャード・マクフォールは、言いたいことを口に出せず悩んでいる人々を集めた。そして、「映画のチケットを購入する列に並んでいるとき、割り込んできた人がいたらどう声をかけるか?」などの状況でどう言えばいいかを考えさせ、そのセリフをリハーサルしてもらった。

その後、日常生活で同じような状況に直面した際、彼らがどのように対応したかを確認したところ、リハーサルをした人の約63%がうまく意思を伝えることができたという。

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要約公開日 2025.03.17
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