アメリカで働く小児精神科医、内田舞氏は、日本女性の多くは、さまざまな社会的要因により、必要以上に自分を責めたり、無理を重ねざるを得なくなっていると指摘する。そしてそんな女性たちに「頑張ってる姿、見えてるよ! 素晴らしいよ!」というエールを贈る。
感染症疫学者として同じくアメリカで働く塩田佳代子氏もそれに同意する。日本において、女性たちが子育てしながら働くのは簡単ではない。ネットには「子持ち様」という言葉が散見されるほどだ。
しかしそもそも人生にはさまざまな出来事が起こり得るため、子どもがいる人に限らず、フルで働けなくなる可能性は誰にでもある。お互いに支え合っていけたら、全員が働きやすい職場に近づけられるはずだ。
そもそもこのような状況にあるのは、個人の問題ではなく、システムの問題が大きいのだろう。たとえば塩田氏にとっては学生に授業をするのも業務の一つだが、妊娠中は、体調を崩してしまったときに備えてバックアップの人がついてくれた。別の先生の代わりに授業を担当することも日常的にある。これなら個人の対立構造は生まれづらい。
内田氏も同意する。システムのいびつさに気づき、その改善に向けて働きかけていくことが重要なのだ。
塩田氏は、システムから変えていくためには、さまざまな偏見や無理解と向き合う必要があると考えている。
悪阻(つわり)に苦しんだ際、いろいろ調べて驚いたのは、悪阻には大した治療法がないどころか、メカニズムすらまだあまりわかっていないということだ。
長い間、研究者はほとんどが男性で、女性の健康に関する研究への関心が低かった。女性の身体的な痛みは過小評価されて、解明や対策が進んでこなかったのだ。
もちろん、男性研究者たちが意地悪をしているわけではない。誰にでも「アンコンシャスバイアス(無意識の偏見)」があり、マジョリティはマイノリティの置かれている状況を想像し、共感することが難しいものなのだ。
3,400冊以上の要約が楽しめる