メタトレンド投資
メタトレンド投資
10倍株・100倍株の見つけ方
著者
メタトレンド投資
ジャンル
出版社
出版日
2025年02月28日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

投資をしていれば、誰でも「大きな利益を得てみたい」と思ったことがあるはずだ。近年では、半導体やAIバブルで大きく株価を上昇させたNVIDIAや電気自動車を手掛けるTeslaの株が話題になった。こうした新たな時代を切り開く企業を、株価が割安な段階で見つけ、莫大な利益を得た人がいる。いったいどんな思考で投資しているのか。本書は、その秘密を「メタトレンド投資」としてまとめている。

著者はこれまでにAppleやNVIDIA、Teslaといった名だたる企業に投資し、利益を得てきた。これらの企業に共通しているのが、革新的なプロダクトを武器にして、長期間にわたってじわりじわりと社会を変革していくことだ。こうした特徴を持つ「メタトレンド」企業に投資するのが、テクニカル分析やファンダメンタル分析といった王道のテクニックに代わる「第3のテクニック」というべきメタトレンド投資なのだ。

メタトレンド投資のポイントは、対象となる銘柄が非常に長期間をかけて成長することから、投資し始めるタイミングが幾度もある点だ。換言すれば、ある企業が気になったタイミングで投資を始めても、その先でさらに企業が成長する余地がある。すでに一定の注目を集めていることから、株価が急落するリスクも比較的小さい。「推し活」的な投資とも相性が良く、楽しみながら資産を増やすことにもつながる。

本書を読んでメタトレンド投資の要諦を理解できれば、「次のNVIDIA」を探し当てる可能性は大きく高まるだろう。

著者

中島聡(なかじま さとし)
エンジニア。起業家。投資家。
1960年北海道生まれ。早稲田大学大学院理工学研究科修了。高校時代からパソコン系雑誌「週刊アスキー」において記事執筆やソフトウェアの開発に携わる。大学時代に世界初のパソコン用CADソフト「CANDY」を開発し、在学中にして約3億円のロイヤリティーを稼ぐ。
1985年、同大学院を卒業し、NTTの研究所に入所。1986年、マイクロソフト日本法人に転職。1989年、米マイクロソフト本社に異動。ソフトウェアアーキテクトとしてWindows95、Internet Explorer3.0/4.0、Windows98の基本設計を手がける。Windows95に「右クリック」「ダブルクリック」「ドロップ&ドラッグ」などの機能を実装し、世界に普及させた。
2000年、米マイクロソフトを退社。同年、Xevo(旧UIEvolution)を創業し、全米ナンバーワンの車載機向けソフトウェア企業に成長させる。2019年、Xevo を3億2000万ドル(352億円)で売却。現在、iPhone、iPadのアプリをはじめとした、さまざまなソフトウェア開発を行っている。シアトル在住。
人気メルマガ「週刊 Life is beautiful」は約2万人の会員数を誇り(2025年2月時点)、まぐまぐ大賞2024・総合大賞1位を獲得。著書に15万部を超えるベストセラー『なぜ、あなたの仕事は終わらないのか』(文響社)など。

本書の要点

  • 要点
    1
    メタトレンド投資とは、長期間にわたって成長する企業に目を付ける手法である。気になった企業へ浅く薄く、少額から投資を始めて徐々に投資していくことでリスクを抑えられる。
  • 要点
    2
    買い増すタイミングは、何か「きっかけ」があったとき。リスク分散のため、ドルコスト平均法で少しずつ買い増すのが良い。
  • 要点
    3
    「推し活」的な投資と相性が良く、楽しみながら続けられる点もポイントだ。
  • 要点
    4
    メタトレンド投資の対象は、ある程度の指標を基にしつつ、経営者の資質をしっかりと見定めながら選ぶと良い。

要約

メタトレンド投資とは何か?

王道の分析には弱点がある

株式投資には、過去のデータを基に将来の値動きを予想する「テクニカル分析」という手法がある。これは、多くの投資家が用いる王道の手法とされるが、著者は一度たりとも使ったことがない。過去の価格変動しか材料にできないテクニカル分析では、株価を動かす未来に存在する不確定要素を織り込んで考えることができないからだ。「ファンダメンタル分析」も、「現在わかっている数字」に頼るため、革新的なイノベーションを評価するには向いていない。

有名な手法を用いても、短期的な株価の値動きを読むことは不可能だ。その事実を受け入れたうえで著者が真に目を向けるべきだと考えるのが「メタトレンド」だ。メタトレンドとは、10年や20年、あるいはそれ以上の長い時間をかけて、社会そのものを変えるような「巨大な時代のうねり」である。メタトレンドを注視して早期に把握することで、社会が向かう方向とそれに乗じて成長する業界・企業に投資できる。これが著者の提案する「メタトレンド投資」だ。

「メタトレンド投資」には複数の購入タイミングがある
Galeanu Mihai/gettyimages

メタトレンドには、「少し出遅れてもまったく問題がない」という大きなメリットがある。メタトレンドは、非常に長いスパンで社会を変化させる流れである。だから、投資を始めるタイミングが多少遅くても、メリットを享受できるのだ。

例えば、いまや巨大な時価総額を抱えるNVIDIAが脚光を浴び始めたのは、2018年頃だった。AIへの注力が注目を集め株価が上昇し始めた一方、振り返ってみればこのときはまだ株価が3ドルほど。その後、さらにChatGPTが脚光を浴び、NVIDIAの知名度が高まった2022年末でも、株価は14ドルほどだ。一見すると「遅い」と思いがちなこのタイミングで投資を始めていても、その後に10倍近くまで高騰しており、「遅すぎた」ことはないのである。

早い段階で投資できるに越したことはないものの、このようにメタトレンド投資にはいくつもの「参入タイミング」がある。リスクを抑えたいなら、「もう間違いない」という時期からはじめるのもひとつの戦略だ。

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要約公開日 2025.03.15
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