国民総株主
国民総株主
国民総株主
出版社
出版日
2024年12月25日
評点
総合
3.8
明瞭性
3.5
革新性
4.5
応用性
3.5
要約全文を読むには
会員登録・ログインが必要です
本の購入はこちら
書籍情報を見る
本の購入はこちら
おすすめポイント

「お金配り」「日本の民間人として初の宇宙滞在」「ZOZOTOWN創業→ヤフーと提携して代表を退任」など、何かと話題が絶えない前澤友作氏。昨今では「お金配りやめます」と書かれたパネルを掲げ、明石家さんま氏と対談する「カブアンド」のCMで再び注目を集めた。本書はその「カブアンド」のコンセプトを前澤氏自らが語る、初の著書である。

前澤氏は「お金配り」の経験から、「金銭的支援は、社会問題の根本的解決につながらない」ことに気がつき、次のステップとして「株を配る」ことを決めた。このアイデアは、国民一人ひとりが資本主義社会の主体者となり、企業の成長を支える「インベスタマー(お客さま兼株主)」としての役割を果たすことを目指したものだ。

本書では、「なぜお金配りをやめたのか」「なぜ株を配るのか」「カブアンドはどんな仕組みなのか」といった、多くの人が抱く疑問に対して、前澤氏自身が答えている。平易な言葉で書かれているため、投資や経済に詳しくない人でも理解しやすい。また、文章からは「楽しいことや嬉しいことをみんなで共有したい」という氏の思いが伝わり、その人柄や魅力に触れることもできるだろう。

本書には、前澤氏の社会改革への情熱が詰まっている。タイトルである「国民総株主」に込められた想いも、確認してほしい。未来の社会の在り方を考えるきっかけとして、多くの人に読んでいただきたい一冊だ。

著者

前澤友作(まえざわ ゆうさく)
1975年、千葉県生まれ。98年、スタートトゥデイ(現・株式会社ZOZO)を設立。2004年にファッション通販サイト「ZOZOTOWN」を開設。07年に東証マザーズ、12年に東証第一部に上場し、17年8月には時価総額1兆円を突破。19年、ヤフーとの資本業務提携を発表し、ZOZOの代表を退任。その後は前澤ファンドを設立しさまざまな事業に出資するとともに、公益財団法人 現代芸術振興財団を通して、文化・芸術の普及にも寄与。21年12月には日本の民間人として初めて国際宇宙ステーションに渡航・滞在した。24年2月株式会社カブ&ピースを設立。 「国民総株主」の実現に向け、多くの国民が資本社会に主体的に参加できるようにすることを目指す。

本書の要点

  • 要点
    1
    「国民総株主」とは、「日本人すべてがなんらかの株式を所有する状態」を指す。著者は「国民総株主」の世界を目指している。
  • 要点
    2
    より多くの人に株を持ってもらうため、著者はサービス利用で株をもらえる仕組み「カブアンド」を始めた。これは「インベスタマー(お客さま兼株主)」という会社と株主の新しい関係性を提案する試みでもある。
  • 要点
    3
    どんなにお金を配っても苦しい人は減らず、世の中は変わらない。
  • 要点
    4
    国民一人ひとりが株主としての自覚を持つと、「インベスタマーが主役になる」時代が訪れる。すると、資本家や経営者の在り方も変化していくだろう。

要約

目指せ! 国民総株主

資本主義では「資本を持つ」ことが重要

著者が目指す世界は、「国民総株主」である。「国民総株主」とは、「日本人すべての人がなんらかの会社の株式を所有している状態」だ。

現代社会は、資本を中心に動いている「資本主義」である。そこでの主役は「資本家」だ。この社会で主体者として生きていくには、「資本を持つ」ことが重要なのだ。

だが、日本で株式投資を行っている人は全体の約3割。残り7割の人々は、資本主義に主体的に参加していないとも言える。著者はこの状況を変え、すべての人が株を持っている状態=「国民総株主」にしたいと考えている。

一方で、アメリカの株式投資家比率は国民の約6割に達している。香港やシンガポールでも6割弱だ。こうした国々と日本の株価を比べると、日本よりも軒並みPER(株価収益率)が高いことがわかる。たとえば、日経平均株価のPERは15~16倍であるのに対し、アメリカの主要株価指数「S&P500」のPERは25~26倍だ。PERは企業の将来に対する市場の期待値を示す指標である。これは、日本企業の期待値が相対的に低いことを示している。

つまり、日本の投資家比率が高まればマーケットが盛り上がり、日経平均株価もさらに上がる可能性があるということだ。

投資家が増えれば給料も増える
treety/gettyimages

株式投資家が増えてマーケットに資金が集まると、企業は資金調達が容易になる。企業投資は主に「設備投資」「人材投資」「研究開発投資」の3つに分類され、これらを通じて企業は成長し、売上高や利益が拡大していく。

その結果、従業員の所得が増加し、日本経済全体にも好循環が生まれる。株式投資によりマーケットが活性化されると、最終的に所得や賃金として自分たちにも恩恵が及ぶ。投資家が増加することは、社会にとっても望ましいことなのだ。

もっと見る
この続きを見るには...
残り3289/4044文字

3,400冊以上の要約が楽しめる

要約公開日 2025.03.05
Copyright © 2025 Flier Inc. All rights reserved.
一緒に読まれている要約
ニセコ化するニッポン
ニセコ化するニッポン
谷頭和希
時間のデザイン
時間のデザイン
井上新八
成果を上げるプレイングマネジャーは「これ」をやらない
成果を上げるプレイングマネジャーは「これ」をやらない
中尾隆一郎
[新書版]生きる意味
[新書版]生きる意味
アルフレッド・アドラー長谷川早苗(訳)
いま必要なお金のお作法
いま必要なお金のお作法
肉乃小路ニクヨ
ライフハック100
ライフハック100
内藤誼人
歴史学はこう考える
歴史学はこう考える
松沢裕作
それ、パワハラですよ?
それ、パワハラですよ?
梅澤康二若林杏樹(マンガ)