一歩踏み出せない人のための株式原論
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出版社
プレジデント社

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出版日
2024年12月01日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

「日本一バズるアナリスト」。そんな異名を持つ経済アナリストの馬渕磨理子さんが、金融市場や投資の原理原則や重要な指標を解説したのが本書だ。

本書は、経済学の観点から株式の世界を俯瞰し、フラットな視点で堅実に投資する方法を伝授する。株式投資の「仕組み」を理解すれば、株価の動きを予測し、景気の動向を先読みする力が自然と身についていく。馬渕さんは、株価の動きのメカニズムを理解するには、経済学のトレンドを株価と結びつけて考えることが重要だと語る。解説は非常に明快であり、読み進めるにつれ、目先の株価に一喜一憂せず、冷静に判断する視点が養われていく。

本書は決して単なる投資指南書ではない。経済学の歴史や学派の思想を丁寧に解説し、投資がいかに社会や自分自身の成長と結びつくかを示している点が新鮮だ。さらに、投資を通じて、自分がその大きな流れの一部であることを再発見できる。世界の目まぐるしい情勢、苦境を乗り越えようとする企業の努力――そうした動きが、金融市場の仕組みを知ることでより深く理解できる。投資は人類の発明品であり、自らの成長をも促すものだという、新しい価値観に出会える一冊である。

新NISAが開始され、投資はますます身近なものになった。投資の旅に出るならば、本書のような信頼できる羅針盤を携えることで、有意義な航海ができるだろう。堅実に利益を出したいすべての人に、本書を強くすすめたい。

著者

馬渕磨理子(まぶち まりこ)
日本金融経済研究所 代表理事、大阪公立大学 客員准教授
京都大学公共政策大学院 修士課程を修了。トレーダーとして法人のファンド運用を担う。その後、金融メディアのシニアアナリストを経て、現在は、一般社団法人日本金融経済研究所 代表理事として企業価値向上の研究を大学と共同研究している。イー・ギャランティ社外取締役。楽待 社外取締役。国会 衆議院 財務金融委員会で参考人として意見陳述し、事業性融資の法案可決に寄与。フジテレビ「LiveNewsα」、読売テレビ「ウェークアップ」、Tokyo FM「馬渕・渡辺の#ビジトピ」レギュラー出演中。

本書の要点

  • 要点
    1
    日本も長らくデフレに苦しめられていたが、値上げを受け入れる覚悟ができれば、国もインフレへと舵を切ることができる。いまこそ株式投資をはじめるチャンスだ。
  • 要点
    2
    その時代の経済学と市場の仕組みを結びつけると、株式投資をもっと身近に感じることができる。サプライサイド経済学はオイルショックの影響で停滞を余儀なくされたものの、現在再び注目されている。
  • 要点
    3
    景気の流れを読むために理解しておきたい主要な指標は、GDP、日銀短観、景気動向指数、鉱工業生産指数の4つである。

要約

いま日本は転換点にある

インフレのその先へ

2014年、NISA(少額投資非課税制度)がスタートした。これにより個人投資家が増加し、24年の新NISA開始によってその傾向はますます強まっている。また、約30年にわたるデフレもようやく回復の兆しを見せており、日本でも投資意欲が高まってきた。一方で、デフレの保守的な社会に染まってしまった私たちは、貯蓄を流動性の高い投資に回すことに不安を覚えている。

しかし、個人も企業も現金をため込んでいれば、経済が上向くことはなく、企業も賃金を引き上げられない。日本がデフレに苦しむ中、アメリカや中国をはじめとする各国は経済成長を続けてきた。日本のGDP(国内総生産)は中国、ドイツに抜かれ、25年にはインドにも抜かれ、世界5位になる見通しだ。日本人に値上げを受け入れる覚悟ができれば、国もインフレへと舵を切れるようになる。まだデフレから脱却したとはいえないが、いまこそ株式投資をはじめるチャンスである。

投資は人類の発明
Nuthawut Somsuk/gettyimages

株価の値動きを知るカギは、その時代における経済学のトレンドと株価を結びつけて考えることが重要となる。これまで経済学と株式投資が紐づけられて語られることはあまりなかった。しかし、その時代の経済学と市場の仕組みを関連づけて考えると、株式投資を身近に感じられ、リズミカルに運用できるようになる。さらには、目先の株価に惑わされず、冷静にその動きを見定めることができる。

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要約公開日 2025.02.15
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