口下手さんでも大丈夫 本音を引き出す聞き方
口下手さんでも大丈夫 本音を引き出す聞き方
口下手さんでも大丈夫 本音を引き出す聞き方
出版社
かんき出版

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出版日
2025年02月03日
評点
総合
3.7
明瞭性
4.0
革新性
3.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

「後輩が何を考えているのかわからない。いつもニコニコしていたのに、急に退職してしまった」

「取引先と腹を割った会話をしたことがない。もっと懐に入るにはどうしたらいいのだろう」

相手の本音が見えず、人間関係に悩んだ経験は誰しもあるのではないだろうか。特に、話しづらい相手に心を開いてもらうのは至難の業だ。

本書の著者・田中知子氏は、リクルートで求人広告営業を経験したのち、31歳でNHK青森のキャスターに転身。女性ながらに大相撲を体当たりで取材し、多くの力士にインタビューを行ってきた。本書は、そんな著者の経験をベースにした「本音を引き出すテクニック」が詰まった一冊である。

著者はリクルートの新人時代、毎日200件の飛び込み営業をこなし、何度も心が折れそうになったという。しかし、数をこなすうちに人との接し方が分かるようになり、やがて新規獲得数トップの常連に。その後はキャスターとして取材経験を重ねていった。

本書ではコミュニケーションスキルが40個紹介されており、それらは大相撲の縁起の良い言葉「金星(きんぼし)」になぞらえ、「金星メソッド」と名付けられている。「読者にもコミュニケーションの金星をとってもらいたい」という著者の思いが込められたネーミングだ。

著者の柔らかな雰囲気が伝わってきて、あたたかく和やかな気持ちで読み進められる一冊。ぜひ、気になるメソッドから試してみてほしい。自分が発する言葉によって相手の態度が変わることを実感でき、人間関係がよりスムーズになるはずだ。

ライター画像
Naoko Kubota

著者

田中知子(たなか ともこ)
●―フリーアナウンサー。大相撲愛好家。コミュニケーション講師。株式会社ちゃんこえ代表取締役。通称「たなとも」。
●―1980年青森県八戸市出身。聖心女子大学卒業後、リクルートの求人広告代理店「フロム・エージャパン」に入社。池袋で1万件以上の飛び込み営業を経験。新規獲得数トップの常連となる。未経験から31歳でアナウンサーへ転身。2011年NHK青森放送局のキャスターとしてローカルニュース番組「あっぷるワイド」に出演し、青森の夕方の顔として定着する。その後、東京へ異動し、2015年、NHK総合「ニュース シブ5時」のディレクター兼レポーターとして活動。当時、女性としては珍しく、大相撲を体当たりで取材。大相撲特集「能町みね子のシブ5時相撲部」を一から手がけ、普段なかなか見られない力士の素顔を独自の目線で取材。大人気の特集に育てた。
●―2019年4月より独立。東京都内でフリーアナウンサー、プレゼンコンサルタント、ラジオパーソナリティとして活動。2024年4月より「声と言葉で世界を幸せにする」をコンセプトに株式会社ちゃんこえを設立。大相撲から学んだ独自メソッド「金星コミュニケーション」を講演しながら、「人と話すって楽しい!」「勇気を出して挑戦すると道が開ける!」を伝えることをミッションとして全国を飛び回っている。ソフトな語り口と一度聞くと安心する声に癒される人も多い。

株式会社ちゃんこえ http://chancoe.co.jp/
Instagram @tanatomo_aomori

本書の要点

  • 要点
    1
    相手から本音を引き出したいときは、「相手がリラックスできる慣れ親しんだ場所」を選ぶのが効果的だ。
  • 要点
    2
    話が終わりそうなタイミングで「最後にひとつだけよろしいでしょうか?」と尋ねると、相手の本音や重要な情報が引き出しやすくなる。
  • 要点
    3
    沈黙は、相手の「シンキングタイム」。焦らず、「待っていますから大丈夫です」というスタンスで、相手の言葉を引き出すことが大切だ。
  • 要点
    4
    厳しい場面やアウェイな環境も、「仮面」をかぶることで乗り越えることができる。

要約

信頼関係のつくり方

相手の話しやすい場所を意識する

シャイな人やガードがかたい人、ボソボソとしか答えてくれない人。そんな人の重い口を開かせ、本音を引き出すにはどうしたらいいだろうか。

著者が意識しているのは「話を聞く場所」選びだ。「相手がリラックスできる慣れ親しんだ場所」、つまり「相手のホームグラウンド」で聞くことが重要だ。

たとえば大相撲では、千秋楽を終えた優勝力士がスタジオに生出演し、アナウンサーの質問に答えることがある。「しっかりした答えを言わねば」と気負う力士の周りには、かっちりとした雰囲気が漂う。

一方、力士にとってのホームは「相撲部屋」である。特に、稽古を終えて風呂から上がり、浴衣に着替えてちゃんこを食べているときはリラックスしている。著者はこのタイミングを狙って相手の「ホームグラウンド」に入って、話を聞く体制をつくっていた。

これを職場に置き換えると、上の立場の人が、部下を自分のデスクに呼び出すと部下は緊張してしまう。会議室などのかしこまった場所も然りだ。そんなときは、上司が自ら部下の席に出向いたり、自販機の前で立ち話をしたりと、相手がリラックスできる環境を選ぶといい。きっと相手は自然体で、本音を話してくれるようになるはずだ。

大事なことをしっかり「握る」
b-bee/gettyimages

「顧客とちゃんと握れているのか」「握れていないのに提案するな」。

著者は営業マン時代、上司に何度となく「握る」という言葉を言われた。握るとは、相手が求めているものを「がっちり握ること」である。これができるか否かが、信頼関係の分かれ目である。

著者は新人の頃、「握る」の意味が分からず、必要な情報のみをヒアリングし、顧客の「想い」の部分までは聞けていなかった。しかし次第に、顧客の目標やチャレンジしたいこと、解決したい課題などを引き出せるようになり、それを一緒に「握る」存在となった。すると「田中さんに任せておけば安心」と信用してもらえるようになったという。

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要約公開日 2025.04.02
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