仕事のコミュニケーションと日常のコミュニケーションにおけるもっとも大きな違いは、向いている方向だ。
日常のコミュニケーションは「過去」を向いており、「昨日こんなことがあった」「実はこんな大変なことが起きた」というように、過去の出来事を中心に展開される。主目的は「感情の共有」だ。
一方で、仕事のコミュニケーションは「未来」を向いており、「この課題にはどう対応する?」「来月の売上目標はどうする?」「来期の戦略はどのように考えている?」といった話し合いを通して、未来の行動を合意するために展開される。主目的は「未来に向けた意思決定」だ。
仕事ができる人は、自分の戦うべき土俵を理解している。つまり、自分が「コントロールできるところ」と「できないところ」を見極め、「コントロールできるところ」の改善に注力しているのだ。
戦う土俵を理解するためのポイントは3つだ。
1つ目は「会社のアルゴリズム」。会社がどのような優先順位や判断基準で動いているのかという全体像だ。
2つ目は「相手の思考パターン」。上司や同僚などの会社で働く人の価値観やモチベーション、人どうしの関係性だ。相手の言動の背後にあるパターンを考え、次の動きを予測できれば、先回りして行動できる。
3つ目は「仕事のツボ」。仕事のポイントを押さえれば、ストレスなく意思決定できるようになる。
コミュニケーションにおいては、もちろんテクニックも必要だ。しかしそれよりも「自分たちが乗っている船がどのような仕組みで動いているのか」「船に乗っている人はどのような考えで働いているのか」「日々の航行をするためのやりとりにはどのようなものがあるのか」といった前提を押さえるほうがもっと大切なのだ。
本書では、会社のアルゴリズム、相手の思考パターン、仕事のツボという3つのポイントについてそれぞれ解説している。
3,400冊以上の要約が楽しめる