伝わる声とは、「心も体もリラックスしたときに出る、響く声」である。そこには不自然さや力みがなく、相手にもストレスを与えない。
伝わるいい声の持ち主として思い浮かぶのは、著者のNHK時代の同期である有働由美子さんだ。一流の人ほど、ふだんの声と本番の声が一致している。有働さんの声は、プライベートでもニュースのときでもまったくブレない。彼女は声を通じて信頼を築いており、まさに一流の人である。
「伝わる声」のベースは地声である。「地声で話すのは失礼」「人前ではきちんとした声でないと」と思うかもしれないが、実際はそうではない。NHKの新人アナウンサー研修でも、「地声をベースに」と教えられている。
ただし、その地声とは、普段友人と話すときのような「ゆるい地声」ではなく、しっかりとした呼吸がともなった「格上げした地声」である。地声は、伝わる声をつくるための大事な一歩なのだ。
相手によって声色や話し方を使い分けなければならない、と思う人もいるかもしれない。しかし、これはかなり高度なテクニックであり、声色を変えすぎると、かえって信用を失うこともある。
一昔前までは、電話では声を高くして「よそいきの声」を使うのが一般的だったかもしれない。しかし、今は仕事でもプライベートでも、一貫した声で話すほうが信頼される。
地声をベースにした「信頼される声」には、少しトレーニングをすれば誰でもなれる。次章からは、その方法である著者考案の「スミヤメソッド」を紹介していく。
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