エッセンシャル思考

最少の時間で成果を最大にする
未読
エッセンシャル思考
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エッセンシャル思考
出版社
かんき出版

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出版日
2014年11月17日
評点
総合
4.3
明瞭性
4.5
革新性
4.0
応用性
4.5
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おすすめポイント

「やらなくては」「どれも大事」「全部できる」こうした思考が人生をすり減らしていると聞いたら、どう思うだろうか。

本書に登場する「エッセンシャル思考」とは、自分が一番大事なものを見極め、それ以外の選択肢をうまく捨て、本質的なものに最高の力を発揮できるようにする技術である。本書には、エッセンシャル思考の基本と、「本当に大事な選択肢を見極める技術」、不要なものをうまく「捨てる技術」が紹介されており、これらの技術を無理なく循環させるための「しくみ化」の方法が具体的に描かれている。アドバイスを実行に移していくことで、仕事の生産性が高まり、自分に正直に生きる充実感を得られることは間違いない。

この本が画期的なのは、非エッセンシャル思考との対比の中で、エッセンシャル思考が成功を生み出した具体例が随所に盛り込まれているため、効果をありありと思い浮かべることができる点だ。また、人間の心理的バイアスを熟知した上で、努力や根性がなくてもエッセンシャル思考を可能にする「しくみ化」の方法は、実践的なものばかりである。

仕事を断るのが苦手な人や、働きすぎて自分の方向性を見失いかけている人はもちろん、人生の質を高めたいと考えるすべての人にとって、必見の内容だと言える。人生の優先順位をじっくりと考え、「自分で選ぶ」という最強の武器を手に、生き方をデザインするヒントを得ていってほしい。

ライター画像
松尾美里

著者

グレッグ・マキューン
シリコンバレーのコンサルティング会社THIS IncのCEO。
エッセンシャル思考の生き方とリーダーシップを広めるべく世界中で講演、執筆をおこない、アップル、グーグル、フェイスブック、ツイッター、リンクトイン、セールスフォース・ドットコム、シマンテックなどの有名企業にアドバイスを与えている。ハーバード・ビジネス・レビューおよびリンクトイン・インフルエンサーの人気ブロガー。スタンフォード大学でDesigning Life, Essentiallyクラスを開講。本書および共著書『Multipliers: How The Best Leaders Make Everyone Smarter』は、ともに米国でベストセラー入りしている。2012年には世界経済フォーラムにより「ヤング・グローバル・リーダーズ」に選出された。

本書の要点

  • 要点
    1
    エッセンシャル思考とは、大事なことを見極め、自分の時間とエネルギーを最も効果的に配分し、最高のパフォーマンスを発揮するための技術である。
  • 要点
    2
    本当に重要なものごとを見極めるために必要なのは、じっくりと考える余裕、情報収集の時間、遊び心、十分な睡眠、そして、何を選ぶかという厳密な基準の5つである。
  • 要点
    3
    エッセンシャル思考の人は、予測不可能な事態を想定して予定を立てるなど、労力をかけずにエッセンシャル思考を体現できるようなしくみをつくっている。

要約

エッセンシャル思考とは何か

より少なく、しかしより良く
flytosky11/iStock/Thinkstock

エッセンシャル思考は、「正しいことをやり遂げる技術」である。大事なことを見極め、自分の時間とエネルギーを最も効果的に配分し、最大の成果を上げるのが狙いだ。

じつは、優秀な人ほど、「自分の目指す方向性がわからない」という成功のパラドックスに陥りやすい。成功を目指して進んだ結果、「頼れる人」という評判を得て、多様な仕事を振られるようになる。それらを引き受けた挙句、時間とエネルギーが拡散され、やるべきことができず、本来の方向性を見失ってしまうからだ。

なぜこのような事態になってしまうのか? それは、選択肢が多すぎ、選択の機会が増えすぎて正しい決断ができなくなるからだ。また、他人からの口出しの影響力が大きく、「全部やろう」という風潮が世の中に広がってしまっているのも要因の一つだ。

成功と充実感を得るためには、大事なこと以外を断り、本当に重要なことに集中しなければならない。そうすれば、質の高い仕事ができる。

エッセンシャル思考の3つの基本概念

エッセンシャル思考を身につけるには、その基礎となる3つの考え方を理解することが不可欠だ。

まずは「選択」。自分には何に時間とエネルギーを使うか、選ぶ力があるということだ。

次に、「ノイズ」。大多数のものごとは不要だ。「少数の重要なチャンス」を選べば、見返りは非常に大きい。

最後に、「トレードオフ」。本当に重要なことにイエスと言うには、その他全てにノーと言わなくてはいけない。「何かを選べば、必然的に何かを捨てることになる」。トレードオフは、往々にしてどちらの選択肢も捨てがたいために痛みを伴うが、選択肢の比較検討において、自分の本当の望みを明確にする絶好のチャンスでもある。

【必読ポイント!】 見極める技術

少数の本質的なことを見極める

本当に重要なものごとを見極めるために必要なのは次の5つである。じっくりと考える余裕、情報収集の時間、遊び心、十分な睡眠、そして何を選ぶかという厳密な基準だ。

忙しく動きまわることを有能さの証だと思っている人は、熟考や睡眠時間を減らそうとする。しかし、エッセンシャル思考の人は、時間をかけて多くの選択肢を調査・検討し、意見を交わし、じっくりと考えることで真に重要なものを見極める。

孤独――考えるためのスペースをつくる
lofilolo/iStock/Thinkstock

多数の瑣末なことの中から少数の重要なことを見分けるには、誰にも邪魔されない時間が不可欠だ。エッセンシャル思考の人は、目の前の選択肢にすぐ飛びつかず、調査と検討に時間をたっぷりかける。

考える余裕をもつには、集中せざるを得ない状況に身を置くことが大切だ。例えばLinkedIn(リンクトイン)のCEOであるジェフ・ワイナーは、毎日合計2時間の空白をスケジュールに組み込んでいる。その時間に、会社の将来像やサービス改善方法といった本質的な問題を考えるようにすることで、生産性がアップし、人生の主導権を取り戻せたと言う。

1年に2週間でも、毎朝5分でも、じっくり考えられる時間を確保しよう。

洞察――情報の本質をつかみとる

情報の核心をつかむには、ささいなことにとらわれ過ぎず、大局を見ることが必要だ。「語られない内容」にも耳を傾け、不要なノイズの中から情報をフィルタリングしなくてはいけない。本質を見抜く目を養うには次のような方法が効果的である。

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要約公開日 2015.03.24
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