限りある時間の使い方

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出版社
かんき出版

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出版日
2022年06月22日
評点
総合
3.7
明瞭性
3.5
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

80歳まで生きるとしても、人生は4000週間しかない。90歳まで生きても4700週間、人類最長寿とされた人と同じ122歳でさえ、たったの6400週間だという。忙しく時間に追われる現代人にとって、これは衝撃的な事実である。

テクノロジーが進化し、効率化が進んだ現代社会では、あらゆる活動の時間が短縮されている。オンラインであっという間に提出できる書類が増え、通販で購入した商品は当日中に手元に届くことさえある。さらに私たちは、時短ツールやライフハックを活用し、時間をコントロールしようと必死に努力してきた。しかし、いつまで経っても時間に余裕ができないばかりか、焦燥感は募るばかりだ。

「上手な時間の使い方」について、これまでさまざまなアプローチがなされてきたが、本書はまったく新しい考え方を示している。それは、簡単に言えば「諦めること」だ。時間も能力も有限であり、自分にできることは限られている。まずはその事実を受け入れることが重要だと著者は説く。その上で「やること」と「やらないこと」を意識的に選択し、自分が本当にやりたいことに注力するべきだと主張している。

「こなせるタスクを増やすこと」に注力してきたビジネスパーソンにとって、本書の主張は目からウロコだろう。誰にとっても残された時間は決して多くないはずだ。本書を、自分の生き方を見つめ直すきっかけにしてほしい。

ライター画像
千葉佳奈美

著者

オリバー・バークマン(Oliver Burkeman)
イギリスの全国紙ガーディアンの記者として、外国人記者クラブ(FPA)の若手ジャーナリスト賞などを受賞した気鋭のライター。著書『解毒剤 ポジティブ思考
を妄信するあなたの「脳」へ』が世界各国で話題を呼んだ。ガーディアン紙で心理学に関する人気コラムを毎週執筆中。ニューヨーク・タイムズやウォール・ストリート・ジャーナルといったアメリカの有名紙、雑誌サイコロジーズやニュー・フィロソファーにも記事を寄せている。ニューヨーク在住。

本書の要点

  • 要点
    1
    時間は有限であり、人生は思っている以上に短い。時間をうまく使うことは、人生の最重要項目である。
  • 要点
    2
    私たちがタイムマネジメントにしがみつくのは、時間をコントロールすることで未来をコントロールできると信じているからである。だが、それは幻想にすぎない。
  • 要点
    3
    時間をうまく使ったといえる唯一の基準は、自分に与えられた時間をしっかりと生き、限られた時間と能力のなかで、やれることをやったかどうかだ。

要約

【必読ポイント!】 人生は4000週間しかない

人類の最重要課題は「時間をうまく使うこと」

人生は短い。80歳まで生きるとして、あなたの人生はたったの4000週間だ。90歳まで生きても4700週間、歴史上もっとも長生きした人と同じ122歳まで生きたとしても、6400週間にすぎない。

人生はこんなに短いのだから、時間をうまく使うことは人類の最重要課題である。僕たちは、時間をもっと現実的に見つめ、バランスを見直すべきだ。ものすごく短くて、きらきらと光る可能性に満ちた、4000週間という時間を。

効率を追求するほど虚しくなる
Nuthawut Somsuk/gettyimages

これほどまでに忙しくなった現代において、「時間が足りない」なんて今さらの指摘だ――。そう思う人もいるだろう。現代人は誰しも、限られた時間のなかで、増えつづける仕事をなんとかさばこうとしている。

だが、忙しさは問題の入り口にすぎない。問題の本質は「限られた時間を思うように活用できていない」という感覚にある。しかし、どんなに工夫してより多くのタスクをこなすことに成功したとしても、以前よりもさらに忙しく、かつ空虚な気分になるだけだ。すぐに別のタスクが積み上がっていくのだから。

僕たちは、効率を追求すればするほど、「本当にやるべきことをやっていないのではないか」「もっと充実した時間の過ごし方があるのではないか」という感覚に襲われる。仕事をいくら効率化したとしても、人生で本当にやるべきことをやりはじめる日なんてやってこないのだ。

時間を完璧にコントロールできるという幻想

もしあなたが中世初期のイギリスの農民に生まれていたら、ある意味でもっと幸せだったかもしれない。なぜなら、その時代には「時間」が存在しなかったからだ。1日の長さは季節によって変わるし、自然を相手にする仕事は、効率化するにも限界がある。

その後、時計が発明されて「時間」という概念が生まれたことで、労働は時間によって管理され、労働者を効率よく働かせる必要が生じた。生活そのものだった「時間」は、生活から切り離されて「使う」ものとなり、さらには支配しコントロールするものと変化したのである。

現代人は、タイムマネジメントによって、時間を完璧にコントロールできるという幻想に縛られている。だが、時間をコントロールしようと思えば、時間のなさにいっそうストレスを感じる。制約から逃れようとすることで、より制約に縛られてしまうのだ。

それならば、制約に逆らうのではなく、制約を味方につけるべきだ。まずは「自分には限界がある」という事実を受け入れよう。そうすれば、無駄に自分を責めずにすむ。大切なのは、何に集中し、何をやらないかを意識的に選択することだ。

「すべてを手に入れることはできない」と認める

効率化すればするほど「すべきこと」が膨らむ

現代人は、自分ができるよりも多くのことをやる必要に迫られている。だから僕たちはタイムマネジメントにしがみつき、「もっとうまいやり方さえ身につければもっとたくさんのことができるようになる」と信じている。

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要約公開日 2022.06.13
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