42歳のとき、著者はそれまで18年勤めた会社を辞めた。前向きな退社であることを周囲に強調したが、本当は会社に居場所が見つからず、傷ついてボロボロになって会社を去ったのだった。
第一志望の業界でも会社でもなかった百貨店に、大学卒業後入社した。作家になりたいという夢を捨てきれなかったため、会社の仕事に全力を傾けられるようになったのは30半ばにさしかかった頃だった。そこから粉骨砕身、働いた。そして出世競争に敗れたとき、著者はその現実を受け入れることができなかった。
「会社人生」というゲームに勝てなかった著者。本書はなぜそうなったのかを振り返りつつ、読者へゲームに勝つ方法を授けるものである。
「会社人生」というゲームからどうせ逃れられないのであれば、そのゲームに本気で参加してみればいいのだ、と著者は読者に語りかける。ルールを否定せず、本気になってこそ、ゲームを最高に楽しめるのだ。そして、勝利を手に入れることができるのだ。
著者にとって、会社はあくまで生活費のために働く場所だった。少しでも「クリエイティブな」仕事をしたかったので、売り場から営業企画部へ異動になったときは高揚したが、モチベーションはやはり低空飛行のままだった。
対して、何人もがのちに社内の取締役となった著者の同期は、一見そう見えなくても、上を目指して静かに闘志を燃やしていた。
向上心の高い人が毎日1%、前日よりできるように頑張るとする。すると、1年後には、1.01の365乗と試算すれば、1が38になるのだ。長い会社員人生で、最初から全力疾走しないと、20年後、30年後にはその差が容赦なく大きくなってしまう。
入社時に高いモチベーションを持たない人たちのほうが多数派かもしれない。それでも、一刻も早く目の前の仕事に全力で取り組むことだ。そうすることで、仕事の面白さも自分で引き出すことができる。
「会社人生」という長いゲームで勝つためには、早く走り始めて、長く走り続けることがもっとも大切なことのひとつなのだ。
著者は、属している集団に望まれる人物像に反発を感じてしまうことが、自分の「悪い癖」だという。
入社してからは、周囲の同僚たちに強烈に違和感を覚えた。なぜ早く帰らず毎日酒を飲みに行くのか、なぜ上司の愚痴や会社の暗い先行きの話ばかりするのか、なぜつまらない自慢話を何度も繰り返すのか、なぜ嫌な状況からさっさと逃げ出さないのか。こうした疑問は、内向的でプライドの高い若者の多くが感じるものかもしれない。
売り場においては商品入れ替えの段取りに不満をもっていたし、大きな宴会では自分の居場所を見つけられなかった。
数年後に売り場のマネージャーになった著者は、徹底的に叩きのめされた。
3,400冊以上の要約が楽しめる