優れたリーダーになるためには、継続してできないことに手を出すことを控えるべきであり、慎重に判断を下さなければならない、とマキアヴェリは説く。その一つの例として、安易に人気を稼ぐための行動をしてはならないということが挙げられる。例えば、奢ることで人気を稼ごうとしても、果たしてそのような行動が長く続くだろうか。ずっと施しを受けている人間は、それを当然のことであると考え始め、感謝することも忘れてしまう。そして一度優しく接することを止めてしまえば、かえって悪印象を招くことになる。このように、続かない行動を取る人間は、やがて他者からの尊敬を失う結果になるだけである。
同じ例についていえば、普段はひたすらケチに徹したほうが遥かに合理的である。実際に歴史上、偉業をなし遂げたリーダーはケチな人物ばかりであった。貯蓄をし、将来の重要な事業のために役立てるように務めよう。資金があれば、他人から見くびられることもなくなる。リーダーにはいざという時のために、常に備えておくという心構えが求められるのである。
組織を統率するリーダーに求められているのは、言うまでもなく結果である。そのためには変化していく状況に対して、常に柔軟に対応していく心構えが必要である。リーダーになろうとする者にとって、温厚さや優しさは必要のない資質であるとマキアヴェリは指摘している。情を持って判断しようとすると、視野が狭くなってしまい、適切な判断が下せなくなってしまうこともある。下手な温情をかけたせいで、かえって自分にも相手にも悪い結果を生むことにつながりかねないのだ。
リーダーに求められているのは、自分の集団を健全に存続させ、他の集団に勝つことである。ときに大胆な決断をするためには、ある種の残酷さが必要になることもある。なによりも優先するべきは成功であることを肝に銘じよう。最初に交わした約束ですら、成功のために不必要と判断したのなら反故にする勇気も必要だ。情というしがらみから自由になることによって、適切な判断が導かれるのである。
良きリーダーになるためには、なによりもまず権力を愛するようにならなければならない。「権力は良いもの、便利で大切なもの」と考えることが大切である。権力に執着しない人間は、従属状態から解放されることのないまま人生を終える。権力を愛し、組織内の権力構造を見極めるように努めよう。そうすることで、組織内でどのように立ち回り、適切な判断を下せばよいかがわかるようになる。
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