どんな業界でも記録的な成果を出す人の仕事力

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どんな業界でも記録的な成果を出す人の仕事力
出版社
東洋経済新報社
出版日
2015年09月03日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.5
革新性
4.0
応用性
3.5
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おすすめポイント

日本コカ・コーラで最年少部長に抜擢され、マイケル・ジャクソンのドキュメンタリー映画『THIS IS IT』のDVD販売で、驚異的なヒットを達成。持ち運べる洗濯機「COTON」を手掛け、日本の家電業界に革命を起こしつつある。これらが同一経営者の成し遂げた偉業だというから驚きだ。本書はまさに、どんな業界でも記録的な成果を出してきたプロ経営者の著者による、ビジネス指南書である。

著者はまず、業界の知識や常識に固執するベテラン社員たちを「絶滅寸前の恐竜」にたとえた。時代の流れに取り残され、打ち手がないベテラン社員たちは、氷河期に対応できず滅んでいった恐竜と同じ末路をたどるという。そして、どの業界でも求められているのは、「よそ者」「素人」にしか生み出しえない柔軟な発想と、しなやかに、そしてしたたかに戦略を実行に移して成果を出し続けることなのだと、著者は説く。

本書には、「世界を変えていくのは、よそ者、バカ者、若者だ。」と記されている。この場合のバカ者とは、その業界の歴史や業界用語を詳しく知らない者を指す。事業再生を託され、異なる業界からやってきた素人は、ベテラン社員から知識や経験不足をバカにされがちだ。しかし、「よそ者」の役割は、今までその業界の人がやってこなかった、自分ならではの発想や戦い方を実行に移し、ベテランを巻き込んでいくことである。どの業界でも著しい成果を上げるための姿勢やキャリアプランの作り方を、ぜひ本書から学びとっていただきたい。

ライター画像
下良果林

著者

伊藤 嘉明(いとう・よしあき)
ハイアール アジア株式会社
代表取締役社長兼CEO
1969年タイ・バンコク生まれ。米国オレゴン州コンコーディア大学マーケティング学部を卒業後、タイへ帰国し、オートテクニックタイランドへ入社。サーブ自動車の総輸入元として高級車の企画・販売・営業全般に携わった後渡米し、サンダーバード国際経営大学院ビジネススクールにてMBAを取得。日本アーンスト・アンド・ヤング・コンサルティングを経て、2000年に日本コカ・コーラ入社。広報渉外本部、初代環境経営部長に就任、前例のない環境経営の取り組みで成果を上げ高い評価を得た。2004年デルに入社、公共営業本部長兼米国本社コーポレートディレクターとして複数の大型案件を勝ち取り、アジア環太平洋地域のベスト・リーダーに選出される。その後レノボ米国本社のエグゼクティブディレクター・グローバル戦略担当役員、アディダス ジャパンの上席執行役員副社長兼営業統括本部長を経て、2009年にソニー・ピクチャーズ エンタテインメント(SPE)、ホームエンタテインメント部門の日本・北アジア代表をつとめる。2014年ハイアール アジア株式会社(旧三洋電機白物家電事業部門が母体となる)社長兼CEO就任。ハイアール グループの海外事業の中でも最も大きい地域となる日本、ASEAN諸国の14事業会社、6400人を統括。事業再生に取り組む。

本書の要点

  • 要点
    1
    「よそ者」が異なる業界で実践すべきことは、「ビッグピクチャー」を描き、業界の常識やルールに縛られずに突き進むことである。
  • 要点
    2
    激動のビジネス社会を乗り切るには、武器を複数持つことが重要である。武器の数や種類を増やすためには、ひとつの場所に留まらないほうがよい。最低限持っておくべき武器は、「情報収集力」「英語力」「コミュニケーション力」の3つである。
  • 要点
    3
    どの業界でも成果を出すには、常に前向きに、新しいことにチャレンジし、全力で取り組む姿勢が重要である。

要約

【必読ポイント!】 どんな業界でも記録的な成果を出す人は何をしているのか?

『THIS IS IT』ヒットの理由

著者は、アディダス ジャパンからソニー・ピクチャーズ エンタテインメント(SPE)に移籍後、マイケル・ジャクソンの『THIS IS IT』のDVD販売を手掛けることになった。最後のツアー準備の様子を収めたという映像の価値を踏まえ、「日本で100万枚は売れる」と宣言した。この数字は、SPE日本法人の幹部たちが導き出した「多くて35万枚」という数字をはるかに上回っていた。35万枚とは、大手レンタルショップや販売店、レコード店での売上予想を足した数字である。幹部たちは「伊藤さんは何もわかっていない」と猛反発した。

この反論に火がついた著者は、これまでにない販売チャネルを開拓し、新たな客層にアプローチすべきと睨んだ。そこで、映画の中でダンサーたちがスポーツウェアを着ていたことに着目し、アディダスジャパンでの営業経験を活かして、スポーツ用品店でDVDを販売し始めた。スポーツ用品店にも、新たな客層を得られるというメリットがあった。

その結果、DVD販売総数は200万枚を超え、今なお売れ続けている。これが「よそ者」の戦い方だ。

話を聞くべきは、業界人ではなく「素人」
ViktorCap/iStock/Thinkstock

長年その業界にいて得た常識や経験則は、刻一刻と変化し続ける環境に対応しきれていないのが現状である。

著者がCEOを務めるハイアールアジア株式会社が扱うAQUAブランドでは、家電業界の常識からはずれた、荒唐無稽とも思われる製品を開発してきた。

著者は、その道の人に話を聞くときは、あくまで一つの見方ととらえることが必要だと言う。例えば、「なぜ透明の洗濯機がないのか」とベテラン技術者に聞いたとしたら、「汚いものは見たくない、というのがユーザーの心理だ」と答えるだろう。しかし、本当にそうだろうか。ダイソンの掃除機が売れているのは、「こんなにゴミがとれた」と一目でわかるのがユーザーに好評だからである。それならば、洗濯機も汚れの落ち具合が見える方が良いのではないか。そんな発想から開発されたのが、世界初のスケルトン洗濯機「クリア」である。

話を聞くべき相手は、その業界と無関係な、普通の素人である。正直で、生活感覚に根差した意見にこそ、ビジネスのヒントが詰まっている。

ビッグピクチャーから考える
Rawpixel Ltd/iStock/Thinkstock

「よそ者」が異なる業界で実践すべきことは、「ビッグピクチャー」を描くことである。

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要約公開日 2016.02.19
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