セブン-イレブンの創業、コンビニでのおにぎりの発売、セブン銀行設立、より上質なプライベートブランド(以下、PB)開発。鈴木氏は流通業界の常識に対し、疑問を発することで、業界の歴史を塗り替える新しい取り組みを実現させてきた。鈴木氏は、物事の本質をつかむため、既存の常識に対し、先入観を捨てて「本当にそうなのか」「なぜなのか」と問い直すことを習慣にしているという。
彼は新しい挑戦のたびに、周囲から猛反対を受けてきた。セブン-イレブンを創業する際も、「小型店が大型店との競争に勝てるはずがない」と反対された。しかし否定論の多くは過去の経験に縛られているにすぎない。鈴木氏は、商店街の小型店が競争力を失ったのは、商品が市場のニーズの変化に対応できていないことや生産性の低さが根本原因であると考え、「商品の価値と生産性を高めれば、小型店と大型店は共存できる」という仮説を立てた。疑問を発することで、問題意識とともに、「こういうことができるのではないか」という仮説が生まれる。
鈴木氏は、「仮説を立てる」ことが重要だと考えている。世の中の常識をうのみにせず、自分の頭で掘り下げて考えることで、仮説を立て、答えを導き出す力が身につき、チャンスを引き寄せることができるのだ。
現在は、柳の下にどじょうが一匹いるかどうかもわからない時代だ。どじょうがどこにいるのか、自ら探し当てないといけない。
往々にして売り手は、Aという商品がヒットすると、その延長線上にあるAダッシュのような商品に飛びつきがちである。しかし顧客から見ると、両者の違いはほとんどない。だからこそBやCという商品を考えることが必要だ。セブンプレミアムも、他のPB商品と同様に低価格路線を選んでいたら、二匹目のどじょうをねらうことになり、現在のような圧倒的な支持は得られなかっただろう。
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