ソ連の崩壊により独立した国々の中でも、エストニア、ラトビア、リトアニアのバルト三国は、それぞれ小国家ながらも強みを活かし、質の高い国家運営をしている。エストニアはとりわけICT分野に強く、世界に先駆けて電子政府のモデルを作り上げている。また、ラトビアはロシアとの関係をうまく築きながら物流の拠点として栄えており、リトアニアは経済回復を遂げて債務の少ない運営を行っている。
どの国も独立当初から順風満帆だったわけではない。一時は貧困に苦しんでいたが、苦難の時代を乗り越えて現在に至る。現在でも、ロシアが侵攻してくる可能性はゼロではない。そんな状況下で、エストニアは、たとえ再び国が占領されても国民としての団結を保つために、ICT化を急速に進め、バーチャル国家の運営を継続しようとしている。
本書では、「強い小国家」の運営に成功しているバルト三国から、日本が参考にすべき点を紹介していく。
世界のエンジニアの市場を見ると、日本のエンジニアの人件費も低額化を免れないだろう。世界中をつなぐサイバープラットフォームが構築されたことにより、安くて優秀なエンジニアを海外から集められるようになったからだ。
そこで、企業とエンジニアの間に入ってIT分野の代理店のような役割を果たす「サイバーコンシェルジュ」としての活路を見出すなど、生き残る新たな方法を見出す必要がある。今、世界で何が起きているのかを知り、どこに需要があるのか見極めることが大切なのだ。
バルト三国とベラルーシは、欧州連合(EU)とロシアに挟まれる位置にあり、周辺諸国からの侵略や支配を何度も受けてきたという歴史的経緯がある。1940~90年代にかけてソ連に併合・編入されていた際はITや流通を担当していたため、1991年に独立した後もそれらを強みとして発展している。
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