大前氏は、経営に関する新たなキーワードとして「アイドルエコノミー」という考え方を提示している。
先進国ではものが溢れかえっている一方、その操業度が不足している。例えば日本では、空き家率は13.5%にも及び、この割合は増え続けている。こうした背景のもと、インターネットの発達により、空いているものと、それを必要とする人を結びつけ、アービトラージ(サヤ取り売買)で利益を得る経営戦略、名づけて「アイドルエコノミー」が今後活況を呈していくとされている。
シェアハウスなどのシェアモデルからさらに進化したアイドルエコノミーでは、自分でリソースを所有する必要がなく、固定費を抱え込まなくて済む。これまではメーカーが製造し、販売会社や代理店を通じて販売していた。しかし、今後はインターネットが代理店の役割を果たすようになる。
本章では、様々な業界の秩序を破壊していくプレイヤーを紹介していく。
アイドルエコノミーの代表格は、個人の空き部屋の貸し借りをネットで仲介する「Airbnb」である。Airbnbのビジネスモデルは、空き部屋を提供するホストと、宿泊で利用するゲストをつなぐことで、双方から手数料を得るというものだ。ゲストは実名やメールアドレスにより本人確認が義務づけられており、宿泊後は互いの態度を評価し合うという安心感から、ユーザーの支持を集めている。今や、個人の空き部屋がホテルの競争相手と化した。
日本にも、ビルの軒先や貸店舗などの「ちょっとしたスペース」を短期間貸し借りできる「軒先ビジネス」というマッチングサービスが存在する。
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