経営者やマネジャーの経営行動は、そのエネルギーと集中力の度合いによって「先延ばしタイプ(低いエネルギー×低い集中力)」、「超然タイプ(低いエネルギー×高い集中力)」「髪振り乱しタイプ(高いエネルギー×低い集中力)」、「目的意識タイプ(高いエネルギー×高い集中力)」の4つに分類することができる。
なかでも40%と高い割合を占めるのが「髪振り乱しタイプ」である。これらの超多忙な人々はたいてい非常に意欲があり、善意の持ち主なのだが、今日のスピーディーな企業文化はこのタイプの忙しさをさらに助長し、多くの会議やメール、電話などルーティンに忙殺された彼らは本来の能力を発揮することができなくなっている。
本書ではこのように「あくせくしながらも結果として何もしないこと」を「アクティブ・ノンアクション(多忙ではあるが、目的を伴う意識的行動をとっていないこと)」と呼び、目的意識を伴う行動をとるために必要な要素を考察する。
目的意識を伴う行動とは、本書のタイトルでもある「アクション・バイアス(行動によって物事を成し遂げようとする姿勢=bias for action)」を表す、一貫した意識的で精力的な行動である。経営行動タイプのうち、10%と最も少ない割合の「目的意識タイプ」マネジャーは、アクション・バイアスの獲得にあたって「エネルギー」と「集中力」という管理職の仕事における2つの重要な要素を高い状態に保っている。
「エネルギー」とは、強烈な個人的コミットメントと関与によって増幅される活力である。エネルギーは、その行動が主観的に意味のあるものでなければ発揮されない。またエネルギーは努力も意味する。行動には一定量の力の発揮を伴うが、こうした力は外部からの圧力に刺激されるだけでなく、個々人が内面に持つ素質によっても誘発される。
「集中」とは、エネルギーを特定の結果に向けることである。それは気を散らすものを追い払い、諸問題を克服し、予期せぬ挫折に直面してもあくまでやり抜くという自制心を必要とする。
エネルギーと集中の組み合わせで生まれる目的意識を伴う行動とは、自らの中から生まれ、自ら身を乗り出し、自らを駆り立て続ける行動である。衝動的な行動とは違って思考と分析、計画を伴うものだ。
目的意識を伴う行動をとるためのエネルギーを引き出すには、自分自身がやりがいを感じ、自分が押しつぶされない範囲で精一杯背伸びをして達成できる、明確かつ具体的な目標を見つけることが大切だ。
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