ライザップにはダイエット目的に通い始める人が大部分を占めるが、「メリハリのある美しいボディになりたい」という理由で通う人も少なくない。トレーニングで筋肉をつけ、その姿を変えていくのである。こうした理由から、ライザップでは自分たちの仕事を「ボディメイク(ライザップの顧客であるゲストのボディをつくること)」と呼んでいる。
ライザップの人気の秘密は、目標を確実にクリアさせるという徹底した「結果にコミット」のコンセプトである。「厳しいトレーニング」というイメージがつきまとうが、ゲストの約7割が、プログラム終了後も継続するという。成功後も新たな挑戦に踏み出したくなるほどの自信が、ライザップで得られるからだ。
ライザップの痩せるメソッドのポイントは、「筋力トレーニング(筋トレ)」、「低糖質食事法」、「トレーナーによるマンツーマンのメンタルフォロー」の3つである。プログラム内容は、医師、管理栄養士、体育科学博士など、各界のスペシャリストの監修のもと、練り上げられていったものだ。ここからは、「結果にコミット」を支える秘訣の一部を紹介していく。
ダイエットや痩せることに興味を持っているものの、「なぜ太るのか」について上手く答えられる人は多くはない。
ライザップのプログラム監修者のひとりで、栄養学の専門家である大柳珠美氏によると、その原因は「糖質の摂りすぎ」だという。糖質を摂ると血糖値が上がり、インスリンが分泌される。インスリンは「肥満ホルモン」とも呼ばれ、余分な糖質を脂肪に変えてしまう。低糖質食事法によって体内の糖質が減ると、今度はエネルギー源として体脂肪を燃焼させ始めるので、結果的に体脂肪は減っていく。
従来のダイエットは、糖質ではなくカロリーや食べる量を制限しようというものだった。しかし、カロリーを制限すると、カロリーそのものにしか目がいかず、結果として食事の栄養バランスが崩れてしまうというのだ。例えば、カロリーが高いからといって、油ののった魚を控えれば、魚の油に含まれるEPAやDHAといった脳機能に不可欠な必須脂肪酸を確保できなくなってしまう。
ライザップに通った人の共通項は、健康的に痩せているという点だ。それは、人体に必要な栄養素をしっかり摂っているからである。また、食事の量を減らすだけのダイエットには、体脂肪だけでなく筋肉も落ちてしまうという問題もある。筋肉が落ちると基礎代謝も低下し、身体のエネルギー消費量も落ちる。そのため、ダイエット後にこれまでと同じエネルギーを摂取すると、リバウンドが起きてしまう。そこで、ライザップは、筋力トレーニングによって基礎代謝を維持し、太りにくい身体をめざしている。
ライザップのメソッドのひとつである「低糖質食事法」とは、糖質の多い食材を避ける方法だ。糖質の多い食材の典型は、ご飯やパン、麺類などの穀物を原料とする「主食」である。ご飯一膳(150g)を角砂糖に置き換えると、約11個分もの糖質が含まれている。このような糖質の高い主食を、ダイエット期間中は一切抜く。主食のほか、カボチャ、ニンジン、ゴボウといった糖質が多い食材もNGとなる。
低糖質食事法を実践する理由は、一時的に糖質をカットすることが体脂肪の燃焼に効果的だからだ。糖質や脂質は大切な栄養素だが、エネルギーになる順番はまず糖質(血糖)、次に脂質(体脂肪)であるため、糖質を体外から摂っている限り、体脂肪はなかなか燃焼しない。そこでダイエットの期間だけ、糖質を身体に取り込まずに、体脂肪を燃やせるようにする、というわけだ。
著者はライザップを2ヶ月間体験し、体重7.2kg減、体脂肪7.3%減、ウエストサイズ11.8cm減という驚異的な結果を得た。そのうえ、筋肉量はほとんど減っておらず、脂肪だけがごっそり減ったのだ。
著者の2ヶ月間を振り返ろう。
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