すべての仕事は「問い」からはじまる

たった1秒の「問題解決思考」
未読
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たった1秒の「問題解決思考」
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すべての仕事は「問い」からはじまる
出版社
SBクリエイティブ
出版日
2016年11月03日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

「私に世界を救うための時間が1時間だけ与えられたとしたら、最初の55分を何が問題かを発見するために費やし、残りの5分でその問題を解決するだろう」。アインシュタインが放ったこの名言を、優秀な人たちはこぞって体現しているという。物事の核心に迫る、筋のいい問いを持って物事と向き合えるかどうか。これが仕事だけでなく人生の質をも左右するというから驚きだ。

著者は、マッキンゼーでの経験やさまざまなエグゼクティブのコーチングに携わる中で、問いの力を痛感し、「良い問い」の投げかけ方に磨きをかけていったという。本書では、著者が見出した、自分の人生にとって大事なものを見極め、豊かな関係性を築くための「問い」の技術を、わかりやすく紹介している。

問いの力は、実に多彩な場面で本領を発揮する。仕事で本質的な成果を出したいときや、人間関係の悩みを解決したいとき、チーム力を高めたいとき、そして人生の質を向上させたいときなど、枚挙に暇がない。例えば、思考が堂々巡りになっているときに、「本当はどうしたい?」と端的に問うことで、突破口が見いだせる。本書は、こうした実践的な問いがちりばめられているだけでなく、「ケース別の質問リスト」までついているという充実ぶりである。

問いは、自分の思考や行動をクリアにし、ビジョンを現実にする原動力になったり、問題の解決策や新しい発想を生み出したりする、パワフルなツールである。「問いを制する者が人生を制す」。本書を読めば、そう思わずにいられなくなるはずだ。

ライター画像
松尾美里

著者

大嶋 祥誉(おおしま さちよ)
センジュヒューマンデザインワークス代表取締役。エグゼクティブ・コーチ、組織開発・人材育成コンサルタント。上智大学外国語学部卒業。米国デューク大学Fuqua School of Business MBA取得。米国シカゴ大学大学院人文科学学科修士課程修了。マッキンゼー・アンド・カンパニーでは、新規事業のフィージビリティスタディ、全社戦略立案、営業戦略立案などのコンサルティングプロジェクトに従事。その後、ウイリアム・エム・マーサー、ワトソンワイアット、グローバル・ベンチャー・キャピタル、三和総合研究所にて、経営戦略や人材マネジメントへのコンサルティングおよびベンチャー企業支援に携わる。2002年より独立し、エグゼクティブ・コーチング、組織変革コンサルティング、チームビルディングやリーダー開発に従事する。著書に『マッキンゼー流 入社1年目問題解決の教科書』『マッキンゼー流 入社1年目ロジカルシンキングの教科書』(SBクリエイティブ)がある。

本書の要点

  • 要点
    1
    優秀な人は、筋のよい問いを投げかける力を持つ。問いによって、本来の目標や自分らしさを見失わずにいられるので、仕事でも成果を出せる。
  • 要点
    2
    優れた問いには「(1)問題は一行」、「(2)自分の判断を入れない」、「(3)視座を高くする」、「(4)ポジティブにする」という4つの型がある。
  • 要点
    3
    良い問いは、(A)根本を問う、(B)未来志向の問いである、(C)枠を外す、(D)「本当の声」をインスパイアする、という4つの方向性のうち、いずれかを備えている。

要約

すごい結果を出せる秘密は「問い」にあった

筋のいい問いが成果の秘訣

優秀な人の共通項は、「何が真の問題か?」と、物事の本質に迫る問いを持って、物事と向き合っているという点だ。アマゾンの創設者ジェフ・ベゾスも、現場で問題が発生すると「なぜ?」を繰り返し、真因を探ったという。

筋のいい問いができるかどうかで、仕事や人生に大きな差がつく。問いを投げかけられると、脳は自然とそれに答えようとする。さらには、「自分が大事にすべきことは何か?」などと、本来の目標や自分らしさを見失わずにいられ、成果を出せるようになる。

脳は性質上、新しくてリスクのあるものを避け、現状維持を好む。これは生存上必要な能力であるが、「当たり前」を選ぶことに慣れてしまうと、斬新なアイデアを生み出しにくくなってしまう。だからこそ、当たり前と思っている知識や常識に健全な疑いを持って、「問う」ことが、脳を活性化させるうえでは重要となる。こうした姿勢を持てば、隠れていた核心を見つけ、自分を変えられる。

著者が「問い」の力に気づいたのは、マッキンゼー入社1年目、ある自動車メーカーの市場動向調査を依頼されたときだった。良い販売戦略を練るために資料を作成していると、上司から「そもそも自動車メーカーが直面している重要な課題は何か」と尋ねられた。そのとき、「クライアントにとって、そもそも何がいいことなのか?」という、より根源的で本質的な問いの重要性を著者は学んだという。こうした問いを立てられるかどうかで、仕事の質が大いに変わってくる。

問いがもたらす効果
a_lis/iStock/Thinkstock

質の高い問いを心掛けることで、どんな効果が得られるのだろうか。第一に、やるべきことがバラバラに散らばっているときに、問いは情報をひとまとめにしてくれる。よって、思考がシンプルになり、仕事の悩みが減るという。

また、物事の核心がつかめるので、時間短縮につながる。「今、自分が集中すべきものは何か」という問いを立てれば、不要な仕事を整理できるからだ。

さらには、異なる物事を関連づけて、発想を広げられるのもメリットの一つだ。問いによって、ある程度の制限が与えられると、発想が豊かになるだけでなく、異なるアイデアの掛け算が生まれやすくなるのだ。

想定外のトラブルに直面したとき、思考に突破口を開いてくれるのも「問い」の力である。「これを何かチャンスにできないか?」と問うことで、状況を変えやすくなる。たとえ理不尽なことが生じても、「この場で何が起こっているのだろう?」と問えば、自分の反応を意識的に選択できるようになる。すると、感情の荒波に飲まれずに、人間関係の悩みを解決できるようになる。何より、本当に自分が大切にしたいことが腑に落ちるので、すぐ行動できるようになり、自分を変えられるのだ。このように、問いが仕事や人生にもたらす効果は絶大である。

【必読ポイント!】 良い問いの4つの型

(1)問いは一行
SonerCdem/iStock/Thinkstock

では、良い問いはどうやって立てればいいのか。優れた問いには次の4つの型がある。

第一に、問いは「一行で表せる」くらい、端的で本質に迫るものでなければならない。問いが何行にもなる場合は、思考が堂々巡りになっているか、自分の主張を相手に押し付けているだけの可能性が高い。

人の脳はシンプルな問いであるほど、多くのシナプスが活性化し、思考のジャンプが起こりやすい。例えば「本当はどうしたい?」などと、短い問いを自他に投げかけることによって、前提や思い込みを打ち破ることができる。また、一行にこだわれば、必然的に大事なことに焦点が当たり、余計なものを捨てられるのも、ワンセンテンスの問いのメリットである。

(2)自分の判断を入れない

例えば営業活動がうまくいっていない人が、上司に「どうして結果が出せないのか?」と尋ねられても、やる気は出ないだろう。一方、「今、何が気になっている?」と問われればどうか。

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要約公開日 2017.01.25
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