ビジネスと人を動かす 驚異のストーリープレゼン

人生・仕事・世界を変えた37人の伝え方
未読
ビジネスと人を動かす 驚異のストーリープレゼン
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ビジネスと人を動かす 驚異のストーリープレゼン
出版社
出版日
2016年11月21日
評点
総合
4.3
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
5.0
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おすすめポイント

成功する人はストーリーを語る。

アイデアを売りこみ、投資家を説得し、学生を教育し、勇気を子どもに与える――そのためには、ストーリーが欠かせないと彼らは理解している。著者いわく、人がのめりこむのは、いつだって心を動かすストーリーなのである。

人は無味乾燥なデータだけを並べられても、退屈して集中することができないようにつくられている。本書が明らかにするのは、ストーリーを用いて、人の心を動かし、説得するための秘訣だ。どのようにすれば、すばらしいストーリーを紡ぎ、世の中にインパクトを与えることができるのか。この428ページにそのすべてがつまっているといってもけっして過言ではない。

また、ストーリーテリングが活躍する舞台は、なにもプレゼンテーションの場だけにかぎらない。人間とはすなわち、ストーリーの生き物だ。だからこそ、本書で得られる知識は、生活のあらゆる場面で生かすことができるといえる。

スティーブ・ジョブズをはじめ、本書で紹介されている37人のプレゼンテーションそれぞれが、すばらしい熱量と迫力をもっている。物語として読むだけでも、十分な読みごたえがある一冊だ。

人前で話すことや、発表するのが苦手な人はもちろん、普段から話し慣れている人も、読めばかならずや、有益で新しい発見があるに違いない。

ライター画像
池田明季哉

著者

カーマイン・ガロ (Carmine Gallo)
『スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン』『TED 驚異のプレゼン』(日経BP社)など、ベストセラーの著者。ガロ氏の著書は24カ国以上で翻訳出版されている。アクセンチュア、シスコシステムズ、コカ・コーラ、インテル、マイクロソフト、ウォルマートなどの役員のコミュニケーションコーチを務める。ガロ・コミュニケーションズ・グループの創業者でもあり、妻のバネッサとふたりの娘とともに、カリフォルニア州プレザントン市在住。

本書の要点

  • 要点
    1
    人の脳はストーリーに反応するようにできている。ゆえに、アイデアを語るときは、つねにストーリーというかたちに落としこむべきだ。
  • 要点
    2
    自分が情熱を持つことがなによりも重要である。自分のモチベーションがどこにあるのかをはっきりさせ、「何を伝えたいのか」を明確にしなければならない。
  • 要点
    3
    脳は苦闘のストーリーを好む。苦労した経験を糧にして、ストーリーを語っていくべきである。
  • 要点
    4
    人はみな、自らのストーリーをつむぐ、生まれながらのストーリーテラーである。だからこそ、誰にでも世界を変えるストーリーを語ることができる。

要約

なぜストーリーテリングが重要なのか

アイデアはストーリーになりたがっている
Alex Varlakov/Hemera/Thinkstock

データを見せただけでは、人の心を動かすことはできない。人の心を動かすのは、いつだってストーリーだ。

ストーリーテリングとは、アイデアを物語にして語ることにより、人々を感化し、啓発し、鼓舞するための技術である。ストーリーを語れるようにならなければ、自分のアイデアで世界を変えることはできない。どれほどすごいアイデアを思いついても、それがすごいと人にわかってもらえなければ、成果はあげられない。

ストーリーテリングのスキルを身につけた人は、より強い影響を周囲に与えることができる。近年の研究でも、魅力的なストーリーは、聞き手の脳に大きな影響をあたえ、着想や意見、感情などを効果的に伝えることができるとされている。

ストーリーを語る場面は、日常のいたるところにある。製品やサービスを売りこむとき、講義をするとき、チームメンバーに指示を出すとき。私たちは日々、ストーリーを語って生きている。だからこそ、アイデアを売りこむときも、ストーリーの力が求められるのである。

想像力に火がついた瞬間

人類は火を使うようになって、大きな発展を遂げた。調理ができるようになり、外敵から身を守れるようにもなった。だが、火にはもうひとつの大きな役割があった。それは想像力に火をつけたことだ。

火を灯すことで、夜も昼のように使えるようになった人類は、火を囲んで自分たちの体験を語りあい、危険を避ける術や、チームとして効率的に狩る方法を学んでいった。そしてそうした習慣が、さまざまな文化をつくっていった。

人類の祖先が火を囲んで語りあっていたもののうち、80%がストーリーだったと社会人類学者は考えている。祖先たちは、ストーリーというかたちで、生きるために必要な情報を交換しあっていた。じつに何万年も前から、私たちの脳はストーリーに反応するようにできていたのだ。

ストーリーは麻薬と同じ

麻薬は脳にドーパミンを大量に放出させることで知られている。ストーリーにも、麻薬と同様の中毒性がある。ある活動を思い浮かべただけで、実際にその出来事を体験したときと同じ脳の領域が活性化するということが、近年の研究によって明らかになった。たとえば、宝くじに当たったことを思い浮かべただけで、実際に宝くじを当てたときと同じ脳の領域が活性化し、少量だがドーパミンが放出され、幸福感が得られるという。

ドーパミンとは、多幸感をもたらす神経伝達物質で、高い中毒性をもっている。また、説得やモチベーション、記憶などにも関与している。すごいストーリーを聞くと、それを想像しただけで、実際に体験したことでなくても、幸福感をもたらすドーパミンが放出される。だから人はストーリーを好み、ストーリーによって心動かされるのである。

【必読ポイント!】 心を揺さぶるために

まず自分が情熱を抱くべし
Choreograph/iStock/Thinkstock

ストーリーは情熱から始まる。自分の心が奮い立っていない状態で、他人を奮い立たせるなどできるはずがない。

情熱は自分という人間の核となるものだ。ゆえに、ストーリーテリングのテクニックを身につける前に、まず相手に何を伝えたいのかを明確にしなければならない。そのためには「自分はなにに心が躍るのか」を問いかけてみるべきである。

たとえば普通の人がワインを見ても、ただ「おいしそうだな」と思うだけだ。しかし、ワインを見たのが、世界一有名なレストランであるエル・ブリをつくった人物ならどうだろう。

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要約公開日 2017.03.03
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