人は話しかけてくれた人に好感を抱く。自分から話しかけるのは緊張するという人が多いため、会話のきっかけを生んでくれたこと自体に嬉しいと感じるからだ。
では自己紹介で相手に印象づける秘訣は何か。それは自分を知ることに尽きる。著者がリポーターを始めた頃、放送作家の鶴間政行氏から教わったのは、「私は〇〇です」といえるキャッチフレーズを20個以上書き出すということだ。著者の場合は「自称お茶の間のチアリーダー」などと、人から褒められるところや体の特徴、特技、出身地を掘り下げてキャッチフレーズを編み出したという。
自己紹介でアピールポイントを一言プラスするだけで、相手の印象に残りやすいだけでなく、その場が和み、グッと話しやすい雰囲気が生まれる。もちろん笑顔を添えることを忘れずに。
仕事で誰かと初めて会う際は、事前に相手の情報を調べておくことが欠かせない。「はじめまして」の出会いが多いリポーターにとっては、下調べの有無が本番の出来を左右するといっていい。
そこで著者は出身地と趣味はできるだけマークし、対面時に共通点を伝えるようにして、相手に親近感を持ってもらうようにしている。入念な準備が、どんなボールでも投げ返す下地となる。
また、下調べや相手の観察を通じて感じたことを言葉にするのは、「あなたに興味がある」という証拠になる。話のタネを探す過程で、相手と会うのがいっそう楽しみになるため、良いことづくめだ。
著者が王様のブランチのリポーターになってからの1、2年は暗黒時代だったという。ロケで話したコメントが、オンエアではことごとくカットされ、落ち込む日々。しかし、出演者がまずは楽しんでいないと、楽しさは伝わらない。「買い物の達人」というコーナーでいろんなゲストと話すうちに、何を言ったら相手が楽しんでくれるかを著者は意識するようになった。
時には言いにくいことを言うべき場面もある。そんなとき、オブラートに包みながらも、クスッと笑ってもらえるような「言いかえつっこみ」ができれば会話の上級者だ。言いかえつっこみで笑いを生めば、凍った空気もほぐれる。
言いにくいことを伝えるべきときは、他の言葉で言いかえられないか考えてみるとよい。うまくハマったときは心の中のモヤモヤも消えるはずだ。
話し上手になりたいなら、うまい人のしゃべりを観察し、自分ならどう切り返すかを考えるといい。リポーターの場合、言葉をうまく使えるかどうかが仕事の依頼の数と直結する。
とはいえ、オリジナリティに満ちた言葉をゼロから考えるのは難しい。そこで著者は、お笑い芸人のつっこみやアーティストの言葉など、自分が面白いと感じた表現を携帯電話のメモ帳に書きためている。そしてそれらを、自分流にアレンジして使っているという。
また普段から街行く人を、何か面白いたとえで表せないか考えるのも、言葉の引き出しを増やすのに役立つ。向こうからやってくる人を形容するキャッチコピーを考え、友人と言い合っていくのだ。もちろんポジティブな言葉でたとえるのが前提となる。こうした工夫次第で面白い表現をどんどん自分のモノにできるはずだ。
言いすぎて相手を怒らせることやスベることが怖い。そんな恐怖を払拭してくれるのが、フォロー言葉である。
例えば年下の人に対し、親しい雰囲気作りのために、あえて敬語を使わずにタメ口で話しかけたとする。もしも相手が少しでもムッとしているようなら、「すみません、弟に似ていたもので!」などとフォロー言葉をいれるのだ。そうすれば場は和やかになり、リカバリーができる。
会話の最中に自分を引きで見ている別視点の自分を持てると、気持ちを落ち着かせ、トラブルにも冷静に対処できる。これを著者は「3カメの自分」と呼んでいる。
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