人は幸せを求めるが、うまくいかないケースも多い。それは「幸せだけ」を追求しているからである。一生の幸福を掴むには、幸せでないときがあって当然である。むしろ幸せでないときがあるからこそ、末永い幸福が手に入るのだ。
何か問題や障害が現れたときにあきらめずに耐え、出口が見えるまで粘り強く立ち向かえる「折れない心」をもち、経験した困難を次への糧にできるかどうかが重要である。
本書は「折れない心」を身につけるのに必要な21のポイントを、三週間にわたって1日1ポイントずつ継続してトレーニングするためのトレーニング・マニュアルである。何かを学ぶときには、反復練習がカギとなる。「折れない心」を手に入れるためには、本書のトレーニングが生活の一部になるように意識して、コツコツと積み重ねることが必要である。
「折れない心」があれば苦しみから学べる。つらい経験やストレスからは逃れようがないが、「折れない心」によって苦しみはやわらいで、ストレスに対応することができるのだ。
人が一日に行っている行動の内、約40パーセントは習慣的なことを無意識に行っているという。朝起きてから寝るまで行動の多くは、自身の習慣となって自動操縦で行っているのだ。まずは、自分の行動や考え方がどのように習慣化されているか振り返り、それを自分の理想に近づけることから始めよう。習慣化するには、その行動に合図と報酬が伴うことが必要だ。何かの合図によって行動を起こし、その行動によって報酬が得られるという図式である。
希望をもつことは、人のエネルギーの源となる。自分はできる、現状を変えられるという気持ちをもち、やれば成功すると前向きに考えられることは何かをするうえでとても大切だ。不安や心配があっても、いい面に目を向け、成功した自分をイメージするとよい。希望や目標をビジュアル化し、常に目に触れるところに掲げておくのも効果的だ。
健康でいることは、当たり前と思うかもしれないが、本当に重要なことである。栄養のある食事、適度な運動は体を強くするだけでなくストレスへの抵抗力も高める。事実、マウスを使ったアメリカの研究でも、よく運動しているマウスはそうでないマウスに比べて高いストレス耐性を示した。いろいろな食材を摂り、体を動かす。義務感ではなく「そうしたいからするのだ」と自然に気持ちが前向きになれば、なお良いだろう。
「自分が何をやっても無駄だ、何も変わるわけがない」という思考に入ってしまうと、そこからなかなか抜け出せなくなってしまう。折れない心がある人は、自分が行動したことによって結果が変わるということを肌で感じている。自分の人生、そして結果は、自分の行動次第で変えることができるのだ。小さなこと、具体的なことからでも目標に即した行動をとってみよう。それによって結果が変わるのを実感することで、あなたは少しずつ人生を自分でコントロールできるようになっていくだろう。
どんなに深刻な状況下にあっても、ユーモアを忘れないことで折れない心は強くなる。ユーモアがあれば、自分も周りもポジティブになり、問題解決がよりしやすくなるだろう。失敗したこと、散々な目にあったこと、そんな経験があればいかに面白おかしく人に話せるか考えてみよう。周りにユーモアセンスのある人がいれば、その感性や話術を学ぶのもよい。すぐには身につかなくても、意識し続けることで少しずつ物事の見方も変わっていくに違いない。
折れない心の持ち主は自信をもっているものだが、その自信は単なる高慢やプライドの高さとは異なる。
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