ムーブ ユア バス
ムーブ ユア バス
ムーブ ユア バス
出版社
SBクリエイティブ
出版日
2016年04月27日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

本書は「全米最優秀教師賞」を受賞するという、目覚ましい成果をあげてきた教師による、今アメリカで話題沸騰中となっているチーム論である。著者、ロン・クラークが運営する学校は、一度訪れたら通い続けたくなり、ワクワク感をかきたてられる遊園地のような場所だ。校内に滑り台を設置し、教室には先生の趣向に沿ったデザインを描くなど、遊び心に溢れた空間作りを奨励している。

そんな彼は、多種多様な教師の様子を観察し、教師が全力を注げる組織をどうつくるかというテーマを探求してきた。今では教育の世界にとどまらず、さまざまな企業で講演を行っており、引っ張りだこである。ロンは企業の経営も、学校の運営と同じだと考え、事業を「バス」にたとえて、組織を活性化させるための話をしているという。面白いのは、組織にいるメンバーを「ランナー」、「ジョガー」、「ウォーカー」、「ライダー」と、組織を率いるリーダーの「ドライバー」の5つに分類するという点だ。本書では秀逸なたとえ話を随所に盛り込みながら、これらの特徴と、バスという名の組織を加速させるためのルールをわかりやすく紹介している。

さて、あなたは5つのタイプのうち、どれに当てはまるだろうか。上司や部下のタイプも把握しておけば、彼らの本領を発揮させ、トラブルを最小限にするための強力な武器になってくれるはずだ。チームを率いる立場にある人にぜひお読みいただきたい。

ライター画像
平賀妙子

著者

ロン・クラーク RON CLARK
ノース・カロライナ州出身。大学を卒業後、1995年から小学校教師となる。学習や行動に問題をかかえる生徒の多い学校、なかでもハーレムの底辺校から優秀児を輩出し、目覚ましい成果をあげる。2001年、28歳のときに、ディズニー社主催「全米最優秀教師賞」を受賞。教室で教えるルールをまとめた『あたりまえだけど、とても大切なこと』(亀井よし子訳、草思社刊)は25カ国で翻訳出版され100万部を突破。世界的なベストセラーとなる。2007年、ジョージア州アトランタにロン・クラーク・アカデミーを設立。以来この学校、あるいは世界を飛び回って、教育関係者を対象に研修を行い、その人数は毎年数千人に上る。教鞭をとるかたわら、フォーチュン500に名を連ねる企業や、個人を対象とした講演も行い、仕事がよりよく、より速く、より効率的に進むアドバイスを行っている。『Move Your Bus』はそうした活動から生まれた本で、ロン・クラーク自身が用いてきた「最高の仕事をするための手法」が、教育現場だけではなく、ビジネスの世界でも役立つとわかったことから執筆された。

本書の要点

  • 要点
    1
    組織をバスにたとえると、乗っているメンバーはドライバー、ランナー、ジョガー、ウォーカー、ライダーの5つのタイプに分類できる。5人が一致団結して走ったとき、目標達成や業績の向上が可能となる。
  • 要点
    2
    ドライバーはランナーを支えることを最優先すべきである。それが組織やチームの活性化の秘訣だ。
  • 要点
    3
    ジョガーと仕事をする際は、ジョガーの行動を認めて、丁寧に面倒を見てあげることが求められる。

要約

【必読ポイント!】 メンバーの特徴

ランナーとジョガー
acoblund/iStock/Thinkstock

ここからは、組織をバスにたとえて、同乗しているメンバーを5つのタイプに分類し、各タイプの特徴を紹介していく。

まず、バスをメインで動かしている中心メンバーは「ランナー」というタイプの人間だ。ランナーは仕事熱心で、仲間への気遣いも欠かさない。個人よりも組織全体の成功を重視し、成功に向かって邁進する。ランナーは短期間で成果を出すため、順調に出世していく。一方、仕事に没頭し過ぎて、私生活や健康を疎かにしてしまう傾向にある。

2つ目のタイプは、ランナーほどではないが、働きもので仕事をしっかりこなす「ジョガー」だ。根っからのがんばり屋のため、特別に指名されたり大仕事を任されたりすると全力疾走できる。しかし、それが長くは続かないという特徴を持つ。ジョガーは得意な仕事には徹底的にこだわって努力する。彼らには自信のある仕事にのみエネルギーを注ぐ傾向があり、これは自信のなさの表れだといえる。

ウォーカーとライダー

3つ目のタイプは、何か問題に気づくとすぐに指摘し、バスに負のエネルギーをまき散らす傾向にある「ウォーカー」である。ウォーカーは仲間を増やし、自分と一緒に歩かせようとする。ほかのメンバーの速度を自分と同じくらいの速度にまで落とすことができれば、自分だけ責められることがないと考えているのだ。新人には優しく接するため、好かれやすいが、これは新人が自分を追い越さないようにするためである。

また、ウォーカーは自分のことばかりを考えがちだ。ランナーばかり高い評価を受けているといった文句が多いのが特徴である。ただし、ウォーカーも成果主義の中でステップアップする可能性を秘めている。

4つ目のタイプは、バスのお荷物となる「ライダー」だ。彼らはバスを動かすどころか、「車内が臭い」などと文句を言う。組織のために貢献することなく、ただ乗っているだけなのだ。ライダーは賞をもらいたいなどとは思わず、ただその場所にいることで満足してしまう。

彼らが解雇されずに済む理由は、彼らが目立たないことを心がけているからだ。大企業の場合、ライダーは巧みに身を隠し、仕事や給料を失わないギリギリのところで何とかやっていくのである。

ドライバー
kzenon/iStock/Thinkstock

ドライバーは、バスのハンドルを握るリーダーだ。バスを加速させるには、ドライバーはまずランナーを支えることを最優先すべきである。著者は、支えるメンバーを間違えると、努力しても組織の活性化には結びつかないことを経験から学んできた。バスを動かしているのはランナーなのだ。

とはいえ、いきなりランナーを助けようとしても、断られてしまうことも多々ある。ランナーは、自分で何でもやろうとしてしまうからだ。だからドライバーが、粘り強く支援の意志を見せなければいけない。

一方でランナーは、ほかのメンバーよりも失敗が多い。それは単に、あまりにも多くのことを同時にやっているからだ。しかし、ランナーは失敗を恥だと重く受け止めるため、ドライバーは、ランナーがミスをしても大目に見てあげたほうがよい。そして予算や人手がかかりそうなプロジェクトをランナーが提案してきた場合にも、彼らの士気を保つために、時にはあえて「やってみろ」とゴーサインを出すのが望ましい。

バスを徐々に加速させるためのルール

身なりをととのえる

現在ウォーカーの人も、もっとはやく走りたいと心のどこかで思っているはずだ。ここでは、多くのランナーが身につけている習慣や行動の一部を紹介する。

まずは、身なりを整えることである。ちゃんとした見た目で発する言動のほうが、良い印象を与えられる。会議で発言する際、意見がより知的に聞こえるだろう。もちろん高級な服を身につけなければいけない、というわけではない。

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要約公開日 2017.04.13
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