ここからは、組織をバスにたとえて、同乗しているメンバーを5つのタイプに分類し、各タイプの特徴を紹介していく。
まず、バスをメインで動かしている中心メンバーは「ランナー」というタイプの人間だ。ランナーは仕事熱心で、仲間への気遣いも欠かさない。個人よりも組織全体の成功を重視し、成功に向かって邁進する。ランナーは短期間で成果を出すため、順調に出世していく。一方、仕事に没頭し過ぎて、私生活や健康を疎かにしてしまう傾向にある。
2つ目のタイプは、ランナーほどではないが、働きもので仕事をしっかりこなす「ジョガー」だ。根っからのがんばり屋のため、特別に指名されたり大仕事を任されたりすると全力疾走できる。しかし、それが長くは続かないという特徴を持つ。ジョガーは得意な仕事には徹底的にこだわって努力する。彼らには自信のある仕事にのみエネルギーを注ぐ傾向があり、これは自信のなさの表れだといえる。
3つ目のタイプは、何か問題に気づくとすぐに指摘し、バスに負のエネルギーをまき散らす傾向にある「ウォーカー」である。ウォーカーは仲間を増やし、自分と一緒に歩かせようとする。ほかのメンバーの速度を自分と同じくらいの速度にまで落とすことができれば、自分だけ責められることがないと考えているのだ。新人には優しく接するため、好かれやすいが、これは新人が自分を追い越さないようにするためである。
また、ウォーカーは自分のことばかりを考えがちだ。ランナーばかり高い評価を受けているといった文句が多いのが特徴である。ただし、ウォーカーも成果主義の中でステップアップする可能性を秘めている。
4つ目のタイプは、バスのお荷物となる「ライダー」だ。彼らはバスを動かすどころか、「車内が臭い」などと文句を言う。組織のために貢献することなく、ただ乗っているだけなのだ。ライダーは賞をもらいたいなどとは思わず、ただその場所にいることで満足してしまう。
彼らが解雇されずに済む理由は、彼らが目立たないことを心がけているからだ。大企業の場合、ライダーは巧みに身を隠し、仕事や給料を失わないギリギリのところで何とかやっていくのである。
ドライバーは、バスのハンドルを握るリーダーだ。バスを加速させるには、ドライバーはまずランナーを支えることを最優先すべきである。著者は、支えるメンバーを間違えると、努力しても組織の活性化には結びつかないことを経験から学んできた。バスを動かしているのはランナーなのだ。
とはいえ、いきなりランナーを助けようとしても、断られてしまうことも多々ある。ランナーは、自分で何でもやろうとしてしまうからだ。だからドライバーが、粘り強く支援の意志を見せなければいけない。
一方でランナーは、ほかのメンバーよりも失敗が多い。それは単に、あまりにも多くのことを同時にやっているからだ。しかし、ランナーは失敗を恥だと重く受け止めるため、ドライバーは、ランナーがミスをしても大目に見てあげたほうがよい。そして予算や人手がかかりそうなプロジェクトをランナーが提案してきた場合にも、彼らの士気を保つために、時にはあえて「やってみろ」とゴーサインを出すのが望ましい。
現在ウォーカーの人も、もっとはやく走りたいと心のどこかで思っているはずだ。ここでは、多くのランナーが身につけている習慣や行動の一部を紹介する。
まずは、身なりを整えることである。ちゃんとした見た目で発する言動のほうが、良い印象を与えられる。会議で発言する際、意見がより知的に聞こえるだろう。もちろん高級な服を身につけなければいけない、というわけではない。
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