SNSを通じて、簡単に自分を発信できるようになったことから、コミュニケーション力を「話す力」だと思っている人は少なくない。しかし、話す力だけでは不十分である。営業職を例にとろう。自分の売りたい商品について流暢に説明するスキルよりも、相手のニーズをしっかりと聞き出し、相手を満足させられる適切な提案をするスキルのほうがよっぽど重宝される。
営業職に限らず、どんな仕事でもすべては「聞く」ことから始まる。どんな目的の仕事なのか、誰のためなのか。いつまでにどんなアウトプットを求めているのか。いい仕事をするために、疑問に思うことは上司やクライアントなどに聞く必要がある。さもなければ、単なる自己満足の仕事になりかねない。
聞くことは、相手への関心を表すことでもある。もし相手のことを知りたい気持ちがあれば、自ずと質問事項が思い浮かぶだろう。
質問事項を考えるうえでは、取材対象者について事前に調べることが欠かせない。相手の具体的な情報を得ていれば、自分にしか聞けない質問を作りあげられる。よって、相手のことを事前に調べずにインタビューに挑むのはご法度といってもいいだろう。事前準備をしてこなかったことは相手に伝わると思っておいたほうがいい。そして、的確な質問を投げかけることで、相手の信頼が得られる。
相手について関心を持つこと、下調べをしていくこと。これらは、自分を印象づけようと過去の武勇伝(自慢話)を語るよりも、はるかに好印象を残すのに役立ってくれる。
ここからは、うまく聞くためのコツを紹介する。インタビューはもちろん、営業や打ち合わせにおいても、質問内容を事前にリストアップし、相手が話しやすい流れを想定しておくことが大切である。ダメなインタビューの典型例は、話があちらこちらに飛んでしまうことである。なぜなら、答える側が質問ごとに思考を巡らせなくてはならず、結構な労力がかかるからだ。相手に負担をかけないためにも、答えやすい質問を用意しなければならない。
ただしYES、NOで終わる問いかけでは、コミュニケーションがなかなか活性化しない。そこで、質問は5W1H(How muchを追加してもいい)を意識するとよい。質問が思い浮かばないときは、コミュニケーションの目的が何なのか、どんな着地点になれば理想の時間になるのかを確かめるとよい。
いいインタビューを行うためには、相手がつい話したくなるような、楽し気な雰囲気を作ることも大切だ。とはいえ、取材対象者に馴れ馴れしく接するのは控え、フォーマルな距離感を保つよう留意したい。
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