アフリカで超人気の日本企業

アフリカビジネスで急成長!ビィ・フォアードの成功哲学
未読
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アフリカビジネスで急成長!ビィ・フォアードの成功哲学
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アフリカで超人気の日本企業
出版社
東洋経済新報社

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出版日
2016年12月29日
評点
総合
3.3
明瞭性
3.0
革新性
4.0
応用性
3.0
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おすすめポイント

アフリカで唯一成功している日本企業、それがビィ・フォアードだ。

創業して10年しか経っていないこの企業が、なぜアフリカで最も有名な企業のひとつになったのか。その驚異的躍進の秘密がこの本にある。

ビィ・フォアードの創業者である山川氏は、20代で中古自動車の買取業を始めて以来、一度も赤字になることなく業績を伸ばしている。ただ、新興国で日本の中古自動車が高く売れることに気がつき、輸出専門企業であるビィ・フォアードを設立した当初は、海外でのビジネスに慣れず、何度も失敗をしたという。

だが、山川氏はめげなかった。現地の有力者とコネクションを築き、パートナー企業と提携し、現地の雇用を生み出すことで、次第に信用を勝ち得ていった。

また、アフリカではSNSが日本以上に流行っているため、口コミでの評判がとても重要視される。そこで山川氏は、マラウイの人気サッカーチームを買い、チーム名にビィ・フォアードの名前を入れることで、アフリカ全土にビィ・フォアードのブランドを広げていった。

現在、ビィ・フォアードは売上500億円にまで成長し、職場に28カ国52人の外国人スタッフがいるなど、国際色も豊かになっている。しかし意外にもその社風は日本的だ。「MBAを取得しなくても、会社は経営できる」という山川氏の言葉は、だからこそ説得力にあふれている。日本的なやり方で、世界に立ち向かうための戦術を知りたければ、ぜひ本書を手にとってみてはいかがだろうか。

ライター画像
谷田部卓

著者

山川 博功 (やまかわ ひろのり)
1971年福岡県出身。株式会社ビィ・フォアード代表取締役。株式会社ワイズ山川代表取締役。1993年明治大学文学部卒業後、東京日産自動車販売株式会社入社。1996年に退社し、転職を繰り返した後、1997年中古自動車買取業の株式会社カーワイズ入社。1999年にグループ内で独立し、有限会社ワイズ山川を設立。2002年より中古自動車輸出を開始、2004年に中古自動車輸出部門を分社化、株式会社ビィ・フォアードを設立。著書に『グーグルを驚愕させた日本人の知らないニッポン企業』(講談社プラスアルファ新書)がある。

本書の要点

  • 要点
    1
    アジアよりアフリカの方が今後の人口増加率は高い。今こそアフリカ市場に打って出るべきだ。
  • 要点
    2
    日本から離れたアフリカで持続的ビジネスを実現するためには、目先の利益を追わず、現地の雇用を生み出し、信用を勝ち得ることがなによりも重要である。
  • 要点
    3
    商売の面白さは、仕込みが当たった時にこそある。野心的な試みこそが、毎日楽しく仕事をする原動力となる。
  • 要点
    4
    ビィ・フォアードの強みは、ブランド力、資金回収力、物流網の3つであり、他社にはなかなか真似ができないようになっている。

要約

序章

アフリカでトヨタより有名な日本企業
moodboard/moodboard/Thinkstock

ある日、グーグル本社の副社長から、山川氏のもとへランチミーティングの招待状が届いた。設立して10年にも満たない企業が、なぜアフリカに向けて大量の広告費用をかけてまで宣伝しているのか、興味をもったからだ。

その頃、アフリカ各国でトラフィックを稼いでいるサイトのトップ10は、フェイスブック、グーグル、ユーチューブなど、そうそうたる面々だった。その中で唯一、山川氏のビィ・フォアードが、日本企業のなかで上位にランクインしていた。

現在も、アフリカビジネスで成功している日本企業は、ビィ・フォアード以外に存在しない。世界企業であるトヨタでさえ、アフリカでは存在感が薄いのが現状である。

だが、今後の人口増加率は、アジアよりアフリカの方が高い。日本企業はアジアばかりに目を向けているが、今こそアフリカ市場に打って出るチャンスだというのが山川氏の考えだ。

最初は普通のサラリーマン

山川氏の社会人生活は、東京日産という自動車販売ディーラーがスタートだった。営業は好きではなかったものの、持ち前の頑張りと知恵で、わずか3年で営業所のトップセールスになった。しかし、趣味のモータースポーツにお金をつぎ込み、大きな借金を抱え込んでしまった山川氏は、借金を返すために転職を決意することにした。

儲かる仕事を探して何度か転職を繰り返していたある日、転機が訪れた。従業員4名の中古自動車の買取業社であるカーワイズに入社したのだ。そこで山川氏は、家族以上の濃密な人間関係の中で、営業マンとしての修業を積んでいった。会社から5分の下宿に住み、先輩社員や会長と毎日のように酒を呑み歩き、24時間仕事べったりの生活が続いた。

独立

独立して20代で社長に

カーワイズでも、山川氏は短期間でトップセールスになった。そして入社してわずか1年半後、カーワイズ会長から資金を得て、株式会社ワイズ山川として独立した。創業時のメンバーは、営業担当の2名を雇い全部で4名だった。

そこでも山川氏はハードに仕事をこなしていった。ワイズ山川の営業担当者の名刺には、「24時間365日受付」と刷ってあるのだが、そのくらいスピードを重視し、常にお客さんと連絡しあえる環境をつくっておくことが営業の秘訣だった。

こうした努力が実を結び、ワイズ山川は起業して1年目から黒字。その後も順調に拡大を続け、今に至るまで赤字決算になったことがない。

最初は失敗続きだった
grinvalds/iStock/Thinkstock

起業後しばらくして、日本の中古車が海外で人気があることに山川氏は気がついた。そこで、ワイズ山川で中古車の海外輸出にチャレンジしてみたのだが、輸出ビジネスに慣れていなかったこともあり、最初は失敗続きだった。代金が回収できず、ミャンマーでは大きな損害を被ってしまい、ニュージーランドでは、さらに大きな損失を出してしまった。

この失敗を教訓にして、山川氏は2006年に海外輸出専門のビィ・フォアードを立ち上げた。そして、代金前払いの取引以外は扱わないことに決めた。資金効率を良くするためだ。それでも相変わらず輸出ビジネスは暗中模索だったが、やがてスポーツカーを改造した日本のドリフトカーが海外で人気となり、次第に世界各国で売れるようになった。

しかしながら苦難は続く。

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要約公開日 2017.04.19
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