この本は、人生に向き合って生きる作法を、身近な人に思いをはせながら紹介する一冊である。
言及されている対象は「親」「友」「師」「嫌な人」「子」「愛する人」という6章構成となっている。
ハイライトでは、ビジネスパーソンとして共感が得られやすいであろう「親」「友」「嫌な人」に焦点を当てた題目のいくつかを紹介していきたい。
本書の著者千田氏は、親元に帰省したら、さりげなく親の若い頃の話を聞くことを勧めている。親には話をはぐらかされるかもしれないが、繰り返し問ううちに、真実が明かされる日が来るのだという。最後まではぐらかされる場合もあるかもしれない。しかし、その繰り返しの対話でこそ親の真実が類推できるのだ。
もしかしたら、次のような面白いエピソードが聞けるかもしれない。
「あの時代 に『駆け落ち』って、やるじゃん・・・」
「略奪愛!? この大人しそうな親父が・・・」
自分の誕生の背景を知ることで、勇気が与えられることもあろう。それこそが自分の幸福に向け重視すべきことを明らかにするヒントになるのだ。
人の記憶は曖昧なものだ。特に幼少の頃の記憶は、人から教えられて形作られることが多い。小学校高学年の記憶であれば、多くを思い出せるかもしれないが、小学校低学年の頃以前に遡ると自信のない方は多いかもしれない。
そこで著者がお勧めしているのは、親の若い頃の話に関連して、自分が幼少の頃の話を聞くというアプローチである。「三つ子の魂百まで」という言葉もある。子供には生まれながらの性格があり、大人となった自分の本来の性格が潜んでいるのだ。
よくビジネスパーソンでも、成功している人は本来の自分と逆の自分を演じるのだそうだ。気が小さい人は勇敢に、傲慢な人はあえて謙虚に振る舞う。その方が成功しやすいのである。本当の自分をさらけ出すのは、圧倒的地位を築いた後の方が良いのだ。
この著者の主張は、本当に優れた方を多く見ている方であれば、大いに納得させられることだろう。
自分が親であることを想像してみよう。子供のどのような姿を見ることを、望むのだろうか。著者によれば、親が一番喜ぶのは、子が自立して生きている姿を確認することなのだという。
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