あの人と一緒にいられる時間はもうそんなに長くない

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あの人と一緒にいられる時間はもうそんなに長くない
出版社
出版日
2014年03月15日
評点
総合
3.3
明瞭性
4.0
革新性
3.0
応用性
3.0
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おすすめポイント

いつも読んでいる本と異なる本に出会うと、案外面白い発見があるものだ。私はロマンチストとリアリストの間を行ったり来たりする人間で感傷に浸ることが得意でないため、センチメンタルな本には通常あまり触れていない。むしろそういう本を嫌悪さえしてきた人種である。しかし、そのような人にこそ、この本は意義が大きいであろうし、面白いのではなかろうか。

本書の印象的な主張の一つは、「成功している人というのは本来の自分と逆の自分を演じている人が多い」というものである。漫然と生きていると気付きにくい事実だが、改めて今まで関わった方々を思い出すと納得感がある。強い立場の人が強く振る舞っている時、それはただの傲慢に見えるだろう。しかし強い立場の人の腰が低く、驚くほどに丁寧だったとしたら、一種の畏れすら感じられるのである。自信を持っているように見える人が不安を抱えていたり、弱腰に見える人が自信家だったりする。人は常に両面を持つものであるが、ぱっと見た印象とは逆の内面を持っている方が、とりわけ大人の社会において人間関係が上手くいくのであろう。

本書は大切な人へのアクションが項目立てされており、一つ一つ味わっていくのが良い。おそらくその人の立場や状況によって、受ける印象が異なるはずだ。どんな印象を持つかという振り返りも含めて、意義のある時間となろう。いつも人のことを思いやれる人ではなく、忙しく働き自分や周りのために時間を取れない方にこそ、この本を一読いただきたいと思う。

ライター画像
大賀康史

著者

千田 琢哉
文筆家。
愛知県犬山市生まれ、岐阜県各務原市育ち。
東北大学教育学部教育学科卒。日系損害保険会社本部、大手経営コンサルティング会社勤務を経て独立。コンサルティング会社では多くの業種業界における大型プロジェクトリーダーとして戦略策定からその実行支援に至るまで陣頭指揮を執る。のべ3,300人のエグゼクティブと10,000人を超えるビジネスパーソンたちとの対話によって得た事実とそこで培った知恵を活かし、「タブーへの挑戦で、次代を創る」を自らのミッションとして執筆活動を行っている。
著書は本書で66冊目。現在までの著書累計は130万部を超える(2013年6月現在)。

本書の要点

  • 要点
    1
    成功している人は本来の自分と逆の自分を演じる。気が小さい人は勇敢に、傲慢な人はあえて謙虚に振る舞う方が成功しやすいのである。
  • 要点
    2
    どん底に対処する一番の方法は、どん底を味わうことである。独力で地獄のどん底から這い上がってきた経験をしてきた人は、独特のオーラを身にまとう。同じ境遇を乗り越えてきた人から、「ようやくこっちの世界にやってきたね」と、歓迎してもらえるだろう。
  • 要点
    3
    嫌な人へ向けた最高の復讐は、嫌な人がキョトンとするくらい、感じよく接することである。不機嫌な相手には、最高の笑顔で返す。厭味に対しては、「褒め言葉として受け取っておきます」と言い、スキップして立ち去るのである。

要約

はじめに

本書の構成

この本は、人生に向き合って生きる作法を、身近な人に思いをはせながら紹介する一冊である。

言及されている対象は「親」「友」「師」「嫌な人」「子」「愛する人」という6章構成となっている。

ハイライトでは、ビジネスパーソンとして共感が得られやすいであろう「親」「友」「嫌な人」に焦点を当てた題目のいくつかを紹介していきたい。

【必読ポイント!】 親と、一緒にいられる時間はもうそんなに長くない

若い頃の話を聞いておく
Purestock/Purestock/Thinkstock

本書の著者千田氏は、親元に帰省したら、さりげなく親の若い頃の話を聞くことを勧めている。親には話をはぐらかされるかもしれないが、繰り返し問ううちに、真実が明かされる日が来るのだという。最後まではぐらかされる場合もあるかもしれない。しかし、その繰り返しの対話でこそ親の真実が類推できるのだ。

もしかしたら、次のような面白いエピソードが聞けるかもしれない。

「あの時代 に『駆け落ち』って、やるじゃん・・・」

「略奪愛!? この大人しそうな親父が・・・」

自分の誕生の背景を知ることで、勇気が与えられることもあろう。それこそが自分の幸福に向け重視すべきことを明らかにするヒントになるのだ。

あなたが幼少の頃の思い出を聞いておく

人の記憶は曖昧なものだ。特に幼少の頃の記憶は、人から教えられて形作られることが多い。小学校高学年の記憶であれば、多くを思い出せるかもしれないが、小学校低学年の頃以前に遡ると自信のない方は多いかもしれない。

そこで著者がお勧めしているのは、親の若い頃の話に関連して、自分が幼少の頃の話を聞くというアプローチである。「三つ子の魂百まで」という言葉もある。子供には生まれながらの性格があり、大人となった自分の本来の性格が潜んでいるのだ。

よくビジネスパーソンでも、成功している人は本来の自分と逆の自分を演じるのだそうだ。気が小さい人は勇敢に、傲慢な人はあえて謙虚に振る舞う。その方が成功しやすいのである。本当の自分をさらけ出すのは、圧倒的地位を築いた後の方が良いのだ。

この著者の主張は、本当に優れた方を多く見ている方であれば、大いに納得させられることだろう。

仕事を頑張っている様子を、教えてあげる

自分が親であることを想像してみよう。子供のどのような姿を見ることを、望むのだろうか。著者によれば、親が一番喜ぶのは、子が自立して生きている姿を確認することなのだという。

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要約公開日 2014.02.13
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