本書は4章構成で、各章においてエグゼクティブの持つ「話す力」が語られている。第1章では周囲の人を「巻き込む」力について述べられており、ハイライトではそのうちのいくつかを紹介していきたい。
冒頭で語られているのはビジネスのおつき合いでよく飛び交う、「今度ぜひ飲みに行きましょう」というセリフだ。挨拶代わりに何気なく口にはするものの、本気で「ぜひ飲みに行きたい」というほどの気持ちもなく、相手も「ええ、ぜひ」とは言うものの、双方ともに「すぐに飲みに行くことはなさそう」と思うことが多いのではないか。
エグゼクティブの多くは、こういうときも「話だけ」で終わらせるようなことはしない。どこにチャンスや有益な情報、出会いがあるかわからないからだ。稼ぐためには、話したことをすぐに実現するスピードが必要である。
「今度飲みに行きましょう」と言いっ放しにはせず、「いつごろならご都合がいいですか?」「誰か同じ業界の人をお誘いしましょうか?」「どんなお料理がお好きですか?」など、すぐになんらかの形で提案する。
「あの人は仕事が早い」と言われる人は、話を実現するスピードが評価の重要な対象になることを知っている。世の中の評価はスピード=有能さなのだ。
「前向きに検討します」といった当たり障りのないセリフではなく、「いつにしますか?」を口グセに、まずはすぐ行動に移すことから始めるべきである。
西澤氏曰く、どんな仕事をしていても「稼げるチャンス」は必ずある。しかし、チャンスに気付かないこともあれば、気付いてもそれをうまく利用できなかったり、チャンスを利用できても後が続かなかったり、ということもある。
つまり、小さなチャンスをものにして、それを育てていくことが大きな成功につながるのであり、そのためにはいつなんどきも敵をつくらず、周りの人の協力を経て、物事を動かしていかなければならない。
次の話し方を見比べてみてほしい。
①「この書類とてもよくできているよ。でも、内容については時系列で表記したほうがわかりやすいね」
②「この書類とてもよくできているよ。だから、内容については時系列で表記したほうがわかりやすいね」
接続詞以外は全く同じ内容だが、この違いだけで話の「印象」が大きく変わる。①のように自らの主張の後に「けれど」や「でも」といった接続詞をつけると「否定」の印象を強めてしまうのだ。
一方、②のような話し方は相手のモチベーションを上げることができる。モチベーションの高い部下をもつことは、上司にとって最大の財産なのだ。エグゼクティブはみな、この接続詞の重要性を理解している。
もし否定的な印象を与える接続詞を使う習慣があるのであれば、すぐにやめるべきだ。
第2章ではエグゼクティブの「人間関係の築き方」について、いくつかのポイントが紹介されている。ここではそのひとつを取り上げたい。
3,400冊以上の要約が楽しめる