本書によれば、大城氏は「ベンツに乗りたい、それもツーシーターのSL。サラリーマンでは一生無理だ。だから社長になる」、と学生時代から思っていたらしい。京都産業大学に入学し、教師を志すものの教員採用試験は不採用。卒業後は外資系の保険会社に営業職として就職。次に、その顧客であった歯科用医療機器のトップメーカーに転職した。33歳で華僑A氏と出会い、その1年後には起業。現在ではアジア市場シェアナンバーワンを目指す医療機器メーカーを経営している。
大城氏は、最初から華僑の師を探していたのではなく、キャリアによらずサバイバル力で勝負している中国人のビジネスパートナーを探していたようだ。どこまでも学歴や肩書が付きまとう日本社会では、10代・20代で勝負がついており、自分の経歴ではどうあがいても逆転できない、と彼は考えていた。
その後、彼はサラリーマンをしながら、出会った中国人と組んでいくつかのビジネスにチャレンジしたものの、誰と組んでもある日突然連絡が取れなくなってしまう・・・ことごとく裏切られたという。そんな中、彼は後に師となる華僑A氏と出会った。大城氏の言葉によれば華僑は、「日本に土着している華僑は日本社会の中での信用を考えてビジネスをしています。失敗したら本国に逃げ帰ればいいと考えている腰掛の在日中国人とは覚悟が違うのです」、という。
A氏は出会った時からただならぬオーラを醸し出しており、大城氏は弟子入りを強く希望した。しかし、彼はA氏に2年間ずっと断られ続けた。A氏は「自分の力でお金を稼いだことがない人とは仕事はできない」と彼を突っぱね続けたのだ。
その後彼はサラリーマンを辞め、自分で小さなビジネスを始め、そこそこの収益を獲得することに成功した。そして、彼は「自分でお金儲けができるようになりました。1年後には独立します。どうか修行させてください。」と、A氏に頼み込んだところ、「へぇ、じゃあいいよ。明日から来て。」と、意外にもあっさりと弟子入りが認められたという。そこから彼の修行は始まった。
彼は理不尽に耐えるのも修行のうちで、一見無意味なシゴキがあるのだろうと、日本的な修行シーンを想像していたようであるが、合理主義の華僑は意味のないことをしなかった。現実の修行内容は師匠に命じられた仕事をすること。実戦あるのみ。過去の実績にかかわらず、とりあえず何でも任せてみるのが華僑流。使い走りから飛び込み営業、上場企業との大口取引までいろいろな仕事を経験したという。
本書はこの後、彼がA氏のもとで学んだ華僑流の働き方、考え方を46のエッセンスに分けて解説する形式となっている。章立てとしては大きく5段階構成に分かれており、①失敗という言葉のない「仕事の進め方」(14エッセンス)、②すべてをビジネスに活かす「コミュニケーション術」(9エッセンス)、③基本は人間関係!人脈作りと人付き合いの極意(6エッセンス)、④大きく違う「お金」に対する考え方(9エッセンス)、⑤非常識かつ合理的な「時間」の使いこなし方(8エッセンス)、という構成である。本ハイライトでは①と②のうち、特に著者が力点を置いて語っているエッセンスをいくつか紹介したい。
華僑A氏は「たとえ千年生きても空を飛べるようにはならないね。でも300年生きれば、いまのダイ君(大城氏)レベルでも10億くらいの資産は作れる。だったらいま、スピードを上げればいいだけ」、と語ったという。
この言葉には大きく二つの教えが含まれている。一つ目は、「自分のスピードを上げろ」ということだ。
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