お金と向き合うために絶対やっておかなければいけないことは、まず最低限の生活維持コストを知るということ。それがわからないままだと、収入と支出のバランスがおかしいことに気付かない。僕は22歳の時、妻と子供を守るために月30万円が必要な金額と決め、この30万円を稼ぐために何をしたらいいかを考え、起業した。月30万円が必要と分かれば、あとはどうやって稼げばいいかを考えれば良い。月30万円なら、10万円の仕事を3つ請け負う、5万円の仕事を6つ請け負うなど、さまざまな手法があることが分かるだろう。プロブロガーのイケダハヤト氏は、東京郊外に住んでいて外食もほとんどしないため、月15万円ぐらいの収入でも十分だそうだ。
反対に、自分がいくら必要なのか分からないままだと、「お金がない」が口癖になってしまう。そうすると、盲目的に年収アップを目指しても、いつまでたっても満足は得られず幸せにはなれない。
お金の「ある・ない」の違いは、人生における取り得る選択肢の違いだ。例えば、お金があることで「時間を買える」。移動するときに電車やバスではなくタクシーという選択肢があれば、乗り換えをしなくて済むし、乗っている合間に資料を見たり打ち合わせをしたりできる。オフィスの近くに家を持つというのも、通勤時間が短縮できるし、人が集まる場所にアクセスしやすくなり、コミュニケーションが多くなる。
デザイナーになりたくてMacを買う時に、お金を貯めて2年後に買う人と、ローンで買ってガンガンデザインをする人がいたとすれば、2年後にデザイナーとして実績を積んでいるのは後者のはず。そういった意味では、借金も「時間を買う」点においては一つの手段だ。
幸せの定義は時代とともに変わってきており、若い人たちはお金じゃないところに幸せを求め始めている。今25、26歳の人は、生まれてすぐにバブルがはじけ、リーマンショックや東日本大震災を通じて「何だ。お金があっても別に幸せじゃないじゃん」と気付いてしまった。彼らにとっての幸せは、例えば社会貢献だったり、自分の家族との時間だったり、自分の時間だったり、そういったものを大事にすること。お金はあるに越したことはないが、そこを求めてがむしゃらに働くことが幸せではないのだ。例えば僕の場合、収入が途絶えるのとツイッターのフォロワーがゼロになるのとどっちが怖いかと言われれば、圧倒的に後者だ。
今は、家電は一通りそろっているし、ウェブでさまざまな情報が手に入る、「これ以上ものを増やしてもしょうがない」時代だ。お金は出会いや発見のための道具の一つにすぎず、お金の奴隷になってはいけない。お金に使われてきた時代から、本当の意味でお金を使う時代に突入しているのである。
お金の使い方は誰かが考えてくれるものではない。自分自身で決めるべきものだ。例えば「愚痴飲み会」。会社に対する不満や愚痴を持っていても何も解決しないのだから、変えたいことがあれば上司をすっとばして社長に向けてきちんと発信すれば良い。高額のビジネスセミナーも無駄だ。そんな話を聞くなら自分でやってみたほうがいいし、往々にして本に書いてあるような内容しか学べないので、そのお金で本を買えばいい。
僕がお金を使っているのは投資だ。
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