販促手法の基本

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販促手法の基本
出版社
日本実業出版社
出版日
2011年03月01日
評点
総合
3.3
明瞭性
3.5
革新性
3.0
応用性
3.5
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おすすめポイント

顧客獲得のためのキャンペーンの打ち方を大学の教育課程で学んだことがある人はいるだろうか。一部のゼミなどで企業とタイアップして、そのような取り組みを行っている大学は存在するだろう。しかし、多くのビジネスパーソンはこのテーマに対して社会人になってから初めて触れることになる。誰も体系的には教えてくれない。マーケティングのゼミだからと言って、販促手法を研究するのはレアケースに思われる。

企業が利益を得るためには、売り上げを獲得しなければならない。そして売り上げ上昇を加速化させる取り組みこそ、本書のテーマ「販促手法」だ。ニーズは間違いなくあるのに、どうも体系化して学んだ記憶がないのがこの分野の特徴だ。我々は日々の生活の中で、常に多数の企業の販促活動にさらされている。渋谷などの繁華街を歩けば、ほとんどすべての販促手法にさらされているのではないかとすら思う。

しかし、いざ自分が販促を担う側に立たされると、その手法は2、3しか思い浮かんでこない。ネットでリサーチしても「一瞬で集客を10倍にする方法」といった類の断片的な情報ばかりが出てきてしまう。

販促手法は一体どのような大区分でどういう手法があるのか、それを本書は体系的に整理してくれている。なんてありがたい書籍だろう。実際に世の中で行われている個社の販促手法も、本書で説明されている基本的な販促手法の変数をコントロールしたり、組み合わせたりしているものがほとんどだ。

本書を読み込み、一通りの販促手法を理解した後に、チームで議論をすればまったく新しい販促手法が生み出せるかもしれない。

著者

岩本 俊幸
株式会社イズ・アソシエイツ代表取締役。
1963年生まれ。1991年、東京・新橋で広告制作会社の経営を開始。
現在、小売店、飲食店、美容室をはじめとする地域密着型ビジネスや、通信販売の販売促進について、企画・コンサルティング・セミナー・研修・ツール製作など、さまざまな方法で支援し、成果を上げている。
一般財団法人ブランド・マネージャー認定協会代表理事。月刊『商業界』の連載など、執筆多数。

本書の要点

  • 要点
    1
    今や経済は成熟期を迎え、作っても売れない時代が到来した。インターネットの普及により価格の透明性も増し、商品を見る顧客の目もよりシビアなものになっている。こうした中、企業は商品を売るために、よりいっそうの知恵が求められている。
  • 要点
    2
    どんな商売も「客数×客単価×購買頻度」によって売り上げが決まる。それぞれの変数を改善するために、どのような販促活動が望ましいのか考える必要がある。
  • 要点
    3
    販促手法には、①販売時点直接型、②新規顧客向け・媒体活用型、③既存顧客向け・媒体活用型、④イベント活用型、⑤インターネット活用型の5つの型が存在する。
  • 要点
    4
    販促活動を行う際は他の営業戦略と同様に、必ずKPIを設定し、PDCAサイクルを回し常にカイゼンしていくことが望ましい。

要約

販売促進って、何をすること?

なぜ、いま販売促進なのか?

広告は「認知促進・イメージ形成」が得意分野であり、営業活動は「直接販売」が得意分野だ。一方で、販売促進は「購買の直接的な動機付け」が得意分野である。販売促進とは、例えばキャンペーン期間を設け、その期間に顧客が購買すると特典がもらえるなど、顧客に対して購買の直接的な動機付けを行う行為である。

今や世の経済は成熟期を迎え、商品が飽和し、つくっても売れない時代となった。顧客の商品を見る目も厳しくなっている。またインターネットの普及によって価格の透明性も増してきた。ただ単に「安い」ということは、もはや競合優位性ではなくなってきている。こうした中、企業は商品を売るために、よりいっそうの知恵が必要となってきている。いかにして消費者の購買欲球を刺激するかに企業は力を入れていかなければならない。

販促手法に関しても、「4マス媒体」と呼ばれる、テレビ、新聞、雑誌、ラジオの取り扱いは軒並み減ってきており、大きな変化を迎えている。ブログやSNSなどのソーシャルメディアの登場により販促手法も多様化しているのだ。いままで以上に新しい手法を学び、時代にマッチした販売促進の施策に取り組むことが、企業には求められている。

販売促進のしくみと流れ

iStock/Thinkstock
販売促進の6つのステップ

市場のシェアである「マーケットシェア」を得ることよりも、お客様の心のシェアである「マインドシェア」を得ることのほうが重要だ。マインドシェアを拡大していくためには、①お客様に「何に対して共感してもらいたいのか?」を決める、②共感を得たお客様のコミュニティをつくる、という2つのポイントが肝要だ。この2つのポイントを具現化するために、以下6つのステップで集客を実現していく必要がある。

1つ目のステップは新規顧客、トライアル客(試しにくる顧客)を集めること。2つ目のステップは、ステップ1ですぐに来店や購買につながらなかった顧客(見込客)をトライアル客になるように促すこと。3つ目のステップはトライアル客をリピート客になるように促すこと。4つ目のステップは、トライアル客、リピート客を常連客に育てること。5つ目のステップは既存客からの紹介を促進すること。6つ目のステップは、しばらく来ていない顧客(休眠客)を掘り起こすこと。

どんな商売も「客数×客単価×購買頻度」によって売り上げが決まる。それぞれが10%も伸びれば、全体で33%もの売り上げ増が見込めるのだ。

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要約公開日 2013.10.31
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