幹部として会社に雇われ、担当の事業を台無しにしてしまった高学歴のビジネスマン。開業して世間もうらやむほどの年収を稼いでいるのに、どんどん借金漬けになっていく医者や弁護士。一体、なぜこのような失敗が生まれてしまうのだろうか?
著者はその理由を、ほとんどの人がお金を管理する実践的な訓練を全くと言っていいほど積んでいないためだと指摘している。巨大な建設クレーンを、マニュアルを読んだだけで使いこなすことができるだろうか。多くの人にとってお金もそれと同じなのだ。賢いお金の判断を下すためには、初歩的な教訓の実体験が必要なのである。
その実体験を何のコストもかけずに得られる方法がある。それがモノポリーだ。モノポリーの勝ち方を学んでいくことで、お金にまつわるコツを実感し、それを実生活に応用できる。さらには実践的な交渉術も身に着けることができる。モノポリーはお金に関するシビアな体験ができるビジネスシミュレーションゲームなのだ。
モノポリーで培うことのできるスキルは次の5つの分野である。以下5つのスキルは実生活でも大いに役立つに違いない。
1.収入と支出の管理
支出項目を「必須」「貯蓄」「できれば必要」に分ける。貯蓄目標を満たしてから「できれば必要」の項目にお金をかけるようにする。
2.資産の管理
バランスシートを作成し、自分の資産と負債を把握する。投資計画を守る。
3.負債の管理
ビジネスチャンスを活かすため、またはより大きな資産を形成するために、適切な負債をつくるという発想はありえる。
4.信用力(債務返済のための余力)の維持
債務には「流動債務」と「固定債務」がある。流動債務に対応するためには、第一に貯蓄を持つ。次に、信用力を確保するために、必要に応じて資産を抵当に入れたり売却したりして流動債務返済の原資にできる、流動性の高い資産をある程度確保しておく。
5.効果的な取引
ほかのプレイヤーの好き嫌いに左右されず、賢い取引を通じて自分の資産の収益性を最大化する。思い入れを排除し、適価にて必要なものを手に入れる。
ルールを習得すれば、覚える気のない人たちよりも優位に立つことができる。モノポリー同様、実生活においてもルールは存在する。
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