「クラウドファンディング」とは、その名の通り「クラウド(Crowd)=人々、大衆」からの「ファンディング(Funding)=資金調達」のことを指す。つまり、金融の専門家ではない一般の人びとから資金を集めることである。インターネット環境の改善やSNSの発達に伴い、最近はインターネットを介して行われることが多くなっている。
クラウドファンディングの定義は様々あり、例えば次のようなものである。「クラウドファンディングとは、特定の目的への独創性を支援するため、寄付もしくは将来できる製品や何らかの特典との交換という形で経済的なリソースを提供する一般公募を意味する。」
IT系ビジネスを中心として、初期の設備投資額が少ない「リーンスタートアップ」の概念に従ったビジネスの立ち上げ事例が近年増えている。IT系ビジネス以外でもCDの制作、イベント開催、スマホ関連製品の制作など、比較的少ない資金でビジネスを立ち上げられる事業アイデアは多い。こうした事業を具現化する際に、クラウドファンディングが活用されやすく、多くの人から少額ずつ集めるという手法が取られている。
アメリカのコンサルティング会社、マス・ソリューション社によれば、クラウドファンディング市場は2010年時に843百万ドルだったのに対し、2013年には5138百万ドルに拡大する見通しであり、近年は1年ごとに倍増するペースで拡大している。
世界銀行のレポートによれば、2012年時点では、北米が全体の59・5%を占め、次いで欧州が35%であり、アジアは1%強に留まっている。
しかし2011年頃を境に、日本をはじめ、韓国、香港、シンガポール等のアジア各国でクラウドファンディング・プラットフォームが多く誕生している。世界銀行は2025年には市場規模が960億ドルにも拡大、その約半分を中国が占めるという見通しを示している。近年アジアにおいてもクラウドファンディングへの注目度は増すばかりだ。
日本においても、2009年には「セキュリテ」、2010年には「ジャスト・ギビング・ジャパン」が開始されている。更に2011年には投資でも寄付でもない、購入型のクラウドファンディング・プラットフォームが発展し、「クラウドファンディング」という言葉が本格的に知られ始める。2011年3月に「レディーフォー」、6月に「キャンプファイヤー」、7月に「モーションギャラリー」がサービスを開始する。その後も続々と参入が相次ぎ、既にすべてを把握するのが困難な程だ。
面白い事例として、出版企画に活用されているものもある。日本最大の印刷会社である大日本印刷とクラウドファンディングのコンサルティング、プラットフォーム運営等を行うワンモアが提携してスタートする「ミライブックスファンド」だ。
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