今日のビジネス世界は計画からデザインの時代へと変化しつつある。スピードが勝負である現在では、計画に時間を割いている間に、パートナー企業の状況や市場動向、お客様のニーズが変化してしまう。そのため、その時々にベストな施策を打ち、すぐ実行に移すことの方に主眼が置かれるようになった。
ビジネスをデザインし「設計図」を作成するにあたっておすすめなのが、3Mやデロイトなどで利用されている世界標準のフレームワーク「ビジネスモデル・キャンバス」である。このキャンバスは、顧客セグメント・価値提案・チャネル・顧客との関係・収入の流れ・主なリソース・主な活動・パートナーとの関係・コスト構造の9つのブロックで構成されている。
このツールを活用すれば、状況に応じてビジネスモデルの見直しや改善のための可視化とコミュニケーションがより簡単におこなえるようになる。まず、メンバーでディスカッションしながら、ビジネスの「デザインラフ」として、ファーストキャンバスを描いていくといいだろう。
新規ビジネスの検討で欠かせないのが、すでに似たようなビジネスやサービスがないか、市場規模や市場動向がどうなっているかの把握だ。しかし、スタートアップの企業では大規模なアンケートや高額な市場調査はおこなえない。
そのような場合は、(1)自社のサービスの位置づけ(メインターゲットの顧客は誰で、どのような課題を、どのように解決するのか)を確認する、(2)調べる項目をできるだけ絞る、(3)インターネットを最大限活用する、(4)実際に競合のサービスを利用するという4つのポイントを守って情報収集に励むといい。
ターゲットにしている顧客セグメントに、自社のサービスが訴求できるかどうかの「仮説」をつくるためには、顧客にインタビューしたり、関係部署とのディスカッションをおこなったりすることが重要だ。その場合、あらためて顧客セグメントと価値提案を考えなおす必要がある。
この2つだけにフォーカスし、詳細を検討するためのツールが「VPキャンバス」だ。また、顧客分析をおこなうための「共感マップ」も有効である。これら2つのツールを使えば、自分たちの想定する顧客の課題意識や潜在ニーズ、つまり「顧客インサイト」を探っていくことができるようになる。
想定する顧客セグメントの中で、最も典型的だと思われる顧客を具体的にイメージし、その顧客のPain(こうなったら困る、痛み)とGain(こうなったら嬉しい、得られるもの)を洗い出していく。そのうえで、その顧客の攻略パターンの仮説を立てていくのである。
ターゲットとする顧客とそのニーズを分析したら、次は自分たちの立てた仮説と照らし合わせて検証をおこなう。このとき、顧客へのヒアリングがなによりも重要になる。
ヒアリングをおこなう際は、「弊社のサービスはいかがでしょうか?」と問いかけるのではなく、「何かお困りのことはありませんか?」と問いかけよう。そうすることで、顧客が感じている問題点をあぶりだすことができる。
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