走りながら考える 新規事業の教科書

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走りながら考える 新規事業の教科書
出版社
かんき出版

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出版日
2016年08月22日
評点
総合
3.8
明瞭性
3.5
革新性
3.5
応用性
4.5
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おすすめポイント

新規事業の成功率をあげる方法は、「フレームワークの利用による情報や思考の整理や階層化」と「ビジネスモデルの仮説と検証を繰り返すデザインアプローチ」である――ビジネスモデルについて、延べ12,000人以上に指導を行ってきた著者はそう語る。

本書では、多くの企業が導入するビジネスモデル・ジェネレーションというフレームワークを用いて、どのように新規ビジネスの仮説・検証をおこなうのかを学ぶことができる。また、実際に自分の手を動かしてビジネスモデルを書き込むためのシートも掲載されている。

10日間で新規事業を立ち上げ、8日間で既存ビジネスの見直しができるように構成されているが、1日ごとの章立てに合わせて毎日実践するのも良し、作業を効率化するプロセスだけを学びとり、活用するのも良し。

「新規ビジネスを成功させたいのなら、もっと儲かるビジネスにしたいのなら、今のモデルを変えていくことを実践していく他ありません。ですから、みなさんは、なるべくたくさん直接現場に出向き、実際に肌感覚でとらえた結果をもとに、顧客や市場に今どうしたら訴求できるのかを自ら考えるというプロセスを身に着けてほしいと思います」という著者の言葉は、走りながら考えることの大切さを端的にあらわしている。本書は読むための本ではなく、使うための本だ。ぜひ実際に手を動かしてシートに書きこんでいってほしい。その先にゴールが見えてくるはずだ。

ライター画像
池田明季哉

著者

今津 美樹(いまづ みき)
ウィンドゥース代表取締役 ITアナリスト
明治大学リバティアカデミー講師
米国系IT企業にてマーケティングスペシャリストとしての長年の実績と20カ国以上におよぶグローバルでの経験を活かし、マーケティングアウトソーサーウィンドゥースの代表を務める。
また、株式会社リンクステーションほか社外取締役を歴任。明治大学リバティアカデミー、昭和女子大学キャリアカレッジで講師を務める。
ビジネスモデルやネットマーケティングに関する講演・企業研修など幅広く活動し、ITアナリストとしてラジオ解説、執筆活動・解説・書評等多数。
BMG(Business Model Generations)およびBMY(Business Model You)ワークショップにおけるファシリテーターとして国内外の数多くの企業および大学での研修講師を手掛け、受講者は延べ12000人を超える。また、ビジネスモデルデザインとキャリアデザインのためのメソッドBusiness Model You 日本代理店として原著者ティム・クラークと日本におけるBusiness Model You の普及推進やコースの提供を行っている。

本書の要点

  • 要点
    1
    新規事業を成功させるには、地道に仮説・検証を繰り返していくしかない。
  • 要点
    2
    プロジェクトを進めるプロセスや課題はメンバー間で共有し、オープンにすることが重要である。
  • 要点
    3
    対顧客という視点ではなく、顧客の気持ちになってニーズを考えるべきだ。
  • 要点
    4
    フレームワークを活用しよう。可視化とコミュニケーションが促進される。
  • 要点
    5
    移り変わりが激しく、スピード勝負である今のビジネス世界では、じっくりと計画を練るよりもビジネスをデザインして修正を加えていくのが成功の秘訣だ。

要約

【必読ポイント!】 新規事業を立ち上げる10日間

成功のための最初のステップ(1日目)
bowie15/iStock/Thinkstock

今日のビジネス世界は計画からデザインの時代へと変化しつつある。スピードが勝負である現在では、計画に時間を割いている間に、パートナー企業の状況や市場動向、お客様のニーズが変化してしまう。そのため、その時々にベストな施策を打ち、すぐ実行に移すことの方に主眼が置かれるようになった。

ビジネスをデザインし「設計図」を作成するにあたっておすすめなのが、3Mやデロイトなどで利用されている世界標準のフレームワーク「ビジネスモデル・キャンバス」である。このキャンバスは、顧客セグメント・価値提案・チャネル・顧客との関係・収入の流れ・主なリソース・主な活動・パートナーとの関係・コスト構造の9つのブロックで構成されている。

このツールを活用すれば、状況に応じてビジネスモデルの見直しや改善のための可視化とコミュニケーションがより簡単におこなえるようになる。まず、メンバーでディスカッションしながら、ビジネスの「デザインラフ」として、ファーストキャンバスを描いていくといいだろう。

競合の分析(2日目)

新規ビジネスの検討で欠かせないのが、すでに似たようなビジネスやサービスがないか、市場規模や市場動向がどうなっているかの把握だ。しかし、スタートアップの企業では大規模なアンケートや高額な市場調査はおこなえない。

そのような場合は、(1)自社のサービスの位置づけ(メインターゲットの顧客は誰で、どのような課題を、どのように解決するのか)を確認する、(2)調べる項目をできるだけ絞る、(3)インターネットを最大限活用する、(4)実際に競合のサービスを利用するという4つのポイントを守って情報収集に励むといい。

ターゲット顧客を理解する(3日目)

ターゲットにしている顧客セグメントに、自社のサービスが訴求できるかどうかの「仮説」をつくるためには、顧客にインタビューしたり、関係部署とのディスカッションをおこなったりすることが重要だ。その場合、あらためて顧客セグメントと価値提案を考えなおす必要がある。

この2つだけにフォーカスし、詳細を検討するためのツールが「VPキャンバス」だ。また、顧客分析をおこなうための「共感マップ」も有効である。これら2つのツールを使えば、自分たちの想定する顧客の課題意識や潜在ニーズ、つまり「顧客インサイト」を探っていくことができるようになる。

想定する顧客セグメントの中で、最も典型的だと思われる顧客を具体的にイメージし、その顧客のPain(こうなったら困る、痛み)とGain(こうなったら嬉しい、得られるもの)を洗い出していく。そのうえで、その顧客の攻略パターンの仮説を立てていくのである。

ビジネスモデルを修正する(4・5日目)
Pinkypills/iStock/Thinkstock

ターゲットとする顧客とそのニーズを分析したら、次は自分たちの立てた仮説と照らし合わせて検証をおこなう。このとき、顧客へのヒアリングがなによりも重要になる。

ヒアリングをおこなう際は、「弊社のサービスはいかがでしょうか?」と問いかけるのではなく、「何かお困りのことはありませんか?」と問いかけよう。そうすることで、顧客が感じている問題点をあぶりだすことができる。

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要約公開日 2017.06.27
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