どのような組織でも、成果を最大限に発揮するためには、構成員のポテンシャルをできるかぎり発揮してもらわなければならない。そのためにまず必要なのが、「その組織がめざすもの」と「それをめざす理由」、そして「どのようにめざすのか」を明文化し、受け入れてもらうことである。ライフルではこれらを「社是」「経営理念」「ガイドライン」として明確に打ちだし、「ビジョンカード」として社員に携帯してもらうようにしている。
また、2012年からは社内から有志を集め、「ビジョンプロジェクト」という全社横断の取り組みをはじめた。部署ごとに経営理念ビジョンを策定してもらい、特に役員にはそれを徹底的に守ってもらうようにしている。加えて、自分の仕事とビジョンのつながりを感じているかをチェックする「ビジョンアンケート」を定期的に実施し、分析報告もおこなっている。このように、「ビジョン」をきわめて重視しているのが、「日本一働きたい会社」ライフルの大きな特徴といえる。
会社の魂である経営理念に命を吹き込むため、ライフルではいくつもの施策をおこなっている。そのなかでも、最もインパクトが大きかったのが採用基準の変更である。
社員の行動を規定するのは価値観だ。全員が同じ価値観のもとで働くと、基本的な行動が統一されるため、生産性が高まる。逆に、価値観がバラバラのままでは、生産性は低くなってしまう。
残念ながら、人の価値観というのはなかなか変わらない。ならば、同じ価値観をもつ人を採用したほうが明らかに効率がよい。また、入社後にいかに組織デザインや人材育成を工夫しても、その人材に主体性や成長意欲がなければ効果は薄い。入社後の施策を効果的なものにするためにも、採用に力を注ぐべきである。
ライフルの場合、経営理念への共感「ビジョンフィット」と、企業文化への合致度「カルチャーフィット」をなによりも大切にしている。どれほどスキルが高くても、ビジョンやカルチャーにズレを感じたら採用しない。
このように徹底的にこだわったことで、ビジョンフィット、カルチャーフィットした人材が着実に増え、それにともなってモチベーション調査等のスコアも向上していった。
ライフルでは4つの採用基準を設けており、前述の(1)ビジョンフィット、(2)カルチャーフィットに加え、(3)ポテンシャル、(4)スキルフィットもチェックするようにしている。
応募者のポテンシャルやスキルフィットを確認するためには、過去の行動の「事実」を丁寧にヒアリングするのが鉄則である。「事実」を通してのみ、その応募者の行動特性が見えてくるからだ。逆に、応募者に自由に話してもらうと、事実よりも気持ちや主観の部分が強く出てしまい、特徴的な行動特性を確認できなくなるので注意が必要である。
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