いい人材が集まる、性格のいい会社
いい人材が集まる、性格のいい会社
「こんな会社で働きたい!」と思ってもらえる、マネジメントのしかけ
いい人材が集まる、性格のいい会社
出版社
クロスメディア・パブリッシング

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出版日
2017年02月01日
評点
総合
3.7
明瞭性
3.5
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

「うちのような中小・ベンチャー企業には、いい人材なんて来てくれない」。これは人事・採用のプロフェッショナルである著者が、経営者や人事担当者と話す中で、よく耳にする悩みだ。中小・ベンチャー企業だけでなく、大手企業もいい人材を採用するために必死になっている。まさに熾烈な人材獲得競争が繰り広げられる時代に入った。

とはいえ、新卒の就職人気ランキングには、相変わらず大手企業の名前がズラリと並んでいる。また30代前半までの転職希望者にも、こういった傾向は強く表れているという。では、中小・ベンチャー企業はどうすれば採用活動を成功に導けるのだろうか? そんな切実な疑問に対して、明確な道筋を描き出してくれるのが本書だ。

中小・ベンチャー企業は、売上や規模のような「外見」では大手企業と競うのは厳しいかもしれない。しかし、社員としての働きがいや人それぞれのライフスタイルに合わせた多様な働き方を提供するという「中身」でなら勝負できる。働く人のことをちゃんと考える「性格」のいい会社になることが、採用活動にも良い影響を与えてくるという。これを裏づけるような、企業の成功事例の数々が、具体的な戦略・しくみとともに紹介されており、実に説得力に満ちている。

「性格のいい会社」は決して理想論ではなく、意図的につくりだせるというメッセージにも希望が持てる。人事戦略の策定、実務に携わる方々にぜひお読みいただきたい。

ライター画像
新井作文店

著者

佐藤 雄佑(さとう ゆうすけ)
株式会社ミライフ 代表取締役。新卒でベルシステム24入社、マーケティングの仕事に従事。そこで「やっぱり最後は人」だと思い、リクルートエイブリック(現在のリクルートキャリア)に転職。法人営業、支社長、人事GM、エグゼクティブコンサルタントなどを歴任。MVP、MVG(グループ表彰)などの表彰多数受賞。リクルートホールディングス体制構築時(2012)には人事GMとして、リクルートの分社・統合のプロジェクトを推進。子供が生まれた時には、「人生後悔するとしたらこれしかない」と、半年間の男性育休を取得し、主夫を経験。2016年、株式会社ミライフ設立。働き方変革事業、戦略人事コンサルティング事業などを展開している。事業構想大学院大学 プロジェクトディレクター、米国CCE,Inc認定GCDF—JAPANキャリアカウンセラー、NPO法人ファザーリングジャパン会員。
http://www.miraif.co.jp

本書の要点

  • 要点
    1
    いい人材は、人に対する考え方をもち、働きがいや多様な働き方を提供してくれる「性格のいい会社」に集まってくる。
  • 要点
    2
    働きがいを生み出す要素は「ビジョン・成長・仲間」である。中小・ベンチャー企業にとって一番本領を発揮できるのが人の成長を支援することである。
  • 要点
    3
    多様な働き方を実現するには、働き方の柔軟性の確保がカギになる。

要約

いい人材の採用は経営課題であり経営戦略

不確実な時代だからこそ人材が大事

ハーバード・ビジネス・スクール名誉教授のアルフレッド・チャンドラー氏は、「組織は戦略に従う」と説いた。これに対し、著者は「そもそも、この戦略は正しいのか?」という疑問を常に抱いてきた。人事マネージャーとして、経営戦略と人事や組織を繋ぐ仕事をする中、「戦略なんて、全然予定通りにいかない」ということに気づいたからだ。

近年、リーマンショックの金融危機や東日本大震災のように、企業ではコントロールできない出来事が次々と起きている。そのため、組織や人は今まで以上に変化に対応することが求められるようになった。これに伴い、「組織は戦略に従う」という時代から、「戦略が人や組織に従う」という時代へとシフトしていくのだ。

こうした時代だからこそ、人や組織が重要になる。だからこそ、いい人材を採用して、変化しながら新しいものを手がけていくことが、今後求められていくようになる。

どうすればいい人材が集まるのか
AntonioGuillem/iStock/Thinkstock

では、どうすればいい人材を採用できるのか。著者は、就職希望者の立場でマーケティング的な発想をすることが大事だと言う。

まずは就職希望者の志望理由から考えてみよう。大事なのは「自社が採りたい人材が会社選びの時に考えていること」を探ることだ。会社の規模やブランド、給与などで大手企業と競うのは難しい。しかし、あえて中小・ベンチャー企業に入りたいという人材もいる。彼らの多くは、主に、やりたい職務にとりくんで成長できることや、経営陣の近くで働けること、そして、アットホームな職場に価値を感じている。

また、就職希望者の退職理由にもヒントがある。求人サイト「リクナビNEXT」にある「退職理由のホンネランキング10」という記事によると、経営者の仕事のやり方や労働時間・環境への不満や、仕事内容に面白味を見出せないことがランキング上位に挙がっていた。これらの不満に対してなら、中小・ベンチャー企業でも手を打つことができるだろう。

中小企業こそ「性格の良さ」で勝負

求人にはハードの情報とソフトの情報が含まれている。ハードの情報とは、企業の規模や歴史、ブランド、給料など、いわゆる「外見」の情報だ。一方、ソフトの情報とは、企業のビジョンや経営理念、どんな社員がどんな理由で働いているのかといった、働きがいや働き方に関する情報を指す。これらは「性格」を表す情報である。特に転職者は企業のやり方や考え方、環境に合わなくて再就職を考えていることが多いため、就職先を「性格で選びたい」と考えている。

近年、リーマンショックや東日本大震災を経て、家族との生活を大事にしたい人や、地元に戻りたいなどと、ライフスタイルや生き方を軸に企業を選ぶ人が増えてきた。だからこそ、人材に対する考え方があり、社員に対して働きがいや多様な働き方を提供していく会社、つまり「性格のいい会社」にいい人材が集まっていく。

【必読ポイント!】 性格のいい会社の作り方

働きがいを構成する要素はビジョン・成長・仲間
zhaojiankang/iStock/Thinkstock

「Great Place to Work(GPTW)」という団体は、世界で働きがいのある会社を調査している。リクルートキャリアは、GPTWの調査で日本一働きがいのある会社に輝いた実績をもつ。そんなリクルートキャリアで人事に携わっていた著者は、「ビジョン、成長、仲間」こそが働きがいを作る要素だと考えている。

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要約公開日 2017.08.17
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