リバネスとはどのような企業か。まずホームページにアクセスしてみる。
「最先端科学のリバネス -Leave a Nest-」
「科学技術の発展と地球貢献を実現する」
よく意味がわからない、あやしい会社だと思うかもしれない。しかし本書を読み進めれば、常識を超えたイノベーション集団であることが伝わるはずだ。リバネスの創業時の考えは、「最先端の科学のエッセンス」を小中高の学校で教える、企業の研究所に持ち込む、経営者に伝えることで、世界を豊かにするプラットフォームにするというものだ。そして、創業当時、リバネスは「世界で初めての科学教育ベンチャー」と呼ばれる。
そのような思いのもとに集まる社員は現在約50人で、全て理系の博士号または修士号をもつ。そして離職者はほとんどゼロに近く、会社の約200のプロジェクトは、全て黒字を続けているというから驚きである。リバネスのどこにその秘密があるのだろうか。以降で紹介していきたい。
リバネスでは、「50%ルール」という定めがある。プロジェクトの利益率が50%を超えることを各プロジェクトリーダーに課しているのである。具体的にはプロジェクトキックオフの段階で、ビジネスの初めから終わりまでを洗い出し、工数、時間数、人件費などすべての費用を「プロジェクト申請書」に書き出して検証し、利益率が50%を超えていればGOサインが出るのである。
50%を超えられない場合、その要因を調べる。もし人件費の問題であればメンバーを若手に入れ替えるなどの対応策を施す。そしてどうしても50%を超えられないときは、何とかしてそれを実現する方法を見つけ出すことが、経営者である著者の仕事なのである。
ビジネスの世界では「PDCA」という言葉をよく聞くだろう。しかし、元来「改善」に向いているPDCAサイクルを回すことが、イノベーションを生むだろうか。そこで著者が考えたアプローチは「QPMIサイクル」である。「Q」はQuestion、「P」はPassion、「M」はMission、「I」はInnovation。この4つの頭文字をとったものがQPMIだ。つまり、質の高い問題(Question)に対して、崇高なまでの情熱(Passion)を注ぎ、仲間と共有できる目的(Mission)に変え、解決する。そして試行錯誤を経て、革新(Innovation)に繋げるのである。
重要となるのは熱いパッションを持った個人の存在だという。
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