世界一との差、それは意識の差である。日本のプロ野球新人選手が入団発表会見で目標を語るとき、ほとんどの選手は「1軍に上がりたい」「レギュラーになりたい」といった、自分自身の目標を口にする。
しかし世界一のチームであるヤンキースの新人選手は、初めから「世界一になりたい」と公言する。新人の段階ではまだ8軍、つまり最下層にいるにもかかわらず、チームの世界一を目標としているのだ。
入団の段階で世界一を見据えるチームと、1軍に抜擢されてからやっと頂点を意識し始める選手が集まるチーム。世界一になる可能性が高いのは、はたしてどちらのチームだろうか。この意識の高さこそが、ヤンキースが世界一である理由である。
したがって、最も重要なことは志をもつことだ。ただ残念なことに、その志が壮大であればあるほど、人は反射的に「自分には無理だ」と否定してしまう傾向にある。
そんなときに必要となるのが、指導者の存在だ。チームが抱く目標の偉大さを語り、目標達成のための取り組みを伝える。そして教わる側の心を動かし、実行に移せるよう導いてあげる。これが指導者としての大切な役割である。
最高のチーム、あるいは組織にとって必要な条件は、実力・結束力・運である。メンバー一人ひとりにこの3つが揃うようサポートするのも、指導者の大切な役割だ。
ただし、教え方には十分注意する必要がある。結果について叱責したり、原因を教えてしまったり、過剰な訓練をさせたりすることは、チーム力を低下させる要因となってしまう。
最高の指導とは、相手に自発的な意欲と行動が沸き起こるように促すことである。そのためにまずは、それまでの努力をしっかり認めてあげよう。そして、叱責する代わりに、ミスはかならず起こりうるものだと励まし、失敗に対する恐怖を取り除こう。そうすることで、教わる側はミスを恐れず果敢に挑戦し、持てる力を存分に発揮できるようになる。
また、うまくいかない原因についても教えるのではなく、相手に考えさせるよう質問を投げかけるべきである。
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