北海道日本ハムファイターズ流

一流の組織であり続ける3つの原則

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一流の組織であり続ける3つの原則
出版社
アチーブメント出版

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出版日
2017年02月28日
評点
総合
3.5
明瞭性
4.0
革新性
3.0
応用性
3.5
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おすすめポイント

最強の組織には、最強である明確な理由がある。

著者は万年最下位の野球チームを日本一まで育て上げた一流の指導者だ。現役時代からすばらしい活躍を見せていた著者は当然、勝つための知識や経験を十分に有している。だが興味深いことに、著者は自分の知識や経験の押しつけを好まない。あくまで相手から「引き出す」こと、いわゆるコーチングを重んじている。その背景には、選手のためにいくらアドバイスをしても「伝わる」とは限らないという信念があった。

人間には感情があり、調子が良いときも悪いときもある。そもそも聞く耳さえもっていないかもしれない。それでも伝えなければならない状況はかならずある。そうした中、試行錯誤しながら選手と真正面から向き合ってきた著者の軌跡が、過去に解決してきた事例とともに本書では紹介されている。

指導者にとって必要なのは、選手の身体ではなく、心を動かすことだ。一見、これは単なる精神論のように思えるかもしれないが、その言葉の意図と具体的な対応策が、本書ではしっかりと説明されている。加えて、指導者と選手の感情の推移も対話式でわかりやすく描かれているため、現在指導する立場にある人は、すぐにでも本書の学びを現場で活かせるはずだ。

理解しやすい表現で書かれているにもかかわらず、読み返すたびに新たな英知と出会うことができる。本書はそんな一冊である。

ライター画像
二村英仁

著者

白井 一幸 (しらい かずゆき)
北海道日本ハムファイターズ 1軍内野守備走塁コーチ兼作戦担当
駒澤大学を卒業後、1983年ドラフト1位で日本ハム入団。1987年ベストナイン、ゴールデングラブ賞受賞、1991年リーグ打率3位、最高出塁率を記録。現役引退後、日本ハムの球団職員となり2軍総合コーチ、2軍監督を経て、2003年から1軍のヘッドコーチを務め、リーグ優勝2回、日本一1回を獲得。2014年より北海道日本ハムファイターズ1軍内野守備走塁コーチ兼作戦担当を任され2016年に10年ぶりに日本一に輝く。JPSA認定ベーシックプロスピーカーとして全国で公演活動をおこなう。著書に『メンタル・コーチング 潜在能力を最高に発揮させるたったひとつの方法』『わが子を一流選手にするメンタル・コーチング』(PHP研究所)がある。

本書の要点

  • 要点
    1
    高い意識で志すことが最も重要だ。そして、それを伝えるのが指導者の役割である。
  • 要点
    2
    最高の指導とは、叱責することでも、失敗の原因を伝えることでも、過剰な訓練を強いることでもない。自発的な意欲と行動が沸き起こるよう、選手たちを促すことだ。
  • 要点
    3
    指導者は何度も何度もメッセージを伝えなければならない。伝わるまで相手に関わり続けることが、指導者としての本当の厳しさだ。
  • 要点
    4
    一流の指導者は最初に任せて、最後に責任を取る。たとえ指導した相手が失敗したとしても、それは自分の責任だという意識をもつべきである。

要約

指導者、その心構え

指導者が存在している理由
Jirsak/iStock/Thinkstock

世界一との差、それは意識の差である。日本のプロ野球新人選手が入団発表会見で目標を語るとき、ほとんどの選手は「1軍に上がりたい」「レギュラーになりたい」といった、自分自身の目標を口にする。

しかし世界一のチームであるヤンキースの新人選手は、初めから「世界一になりたい」と公言する。新人の段階ではまだ8軍、つまり最下層にいるにもかかわらず、チームの世界一を目標としているのだ。

入団の段階で世界一を見据えるチームと、1軍に抜擢されてからやっと頂点を意識し始める選手が集まるチーム。世界一になる可能性が高いのは、はたしてどちらのチームだろうか。この意識の高さこそが、ヤンキースが世界一である理由である。

したがって、最も重要なことは志をもつことだ。ただ残念なことに、その志が壮大であればあるほど、人は反射的に「自分には無理だ」と否定してしまう傾向にある。

そんなときに必要となるのが、指導者の存在だ。チームが抱く目標の偉大さを語り、目標達成のための取り組みを伝える。そして教わる側の心を動かし、実行に移せるよう導いてあげる。これが指導者としての大切な役割である。

最高の指導法

最高のチーム、あるいは組織にとって必要な条件は、実力・結束力・運である。メンバー一人ひとりにこの3つが揃うようサポートするのも、指導者の大切な役割だ。

ただし、教え方には十分注意する必要がある。結果について叱責したり、原因を教えてしまったり、過剰な訓練をさせたりすることは、チーム力を低下させる要因となってしまう。

最高の指導とは、相手に自発的な意欲と行動が沸き起こるように促すことである。そのためにまずは、それまでの努力をしっかり認めてあげよう。そして、叱責する代わりに、ミスはかならず起こりうるものだと励まし、失敗に対する恐怖を取り除こう。そうすることで、教わる側はミスを恐れず果敢に挑戦し、持てる力を存分に発揮できるようになる。

また、うまくいかない原因についても教えるのではなく、相手に考えさせるよう質問を投げかけるべきである。

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要約公開日 2017.07.31
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