先進国での金融の電子化は1950年代に始まった。当時はまだ業務の大部分を手作業に依存していた銀行業界だったが、電子計算機の導入により生産性は格段に上昇した。中国での電子化のスタートは1970年代と遅かったが、後を追う道のりははっきりとしていた。
先進国と同様に電子計算機を導入し、1990年ごろには各営業拠点においてコンピュータ化が概ね実現した。1990年代に入ると国家をあげて金融の電子化へ資金を投じ、全国の金融機関の電子システムの統合に取り組み始めた。この流れの中で生まれたのが中国銀聯である。全国の銀行ネットワークは結ばれ、人々は銀聯カードによって中国国内のどこででも決済ができるようになった。現時点で、銀聯カードの取引規模はVISA、MasterCardに次ぐ世界第三位にまで成長している。
仕事や生活のリズムが慌ただしくなっている現代社会において、人々が「待てなくなっている」のは確かだ。飲食店ではすぐに料理が出てくるのを期待するし、運転するときには比較的空いているルートを選択したいと思う。このことは、銀行の24時間化にも現れている。
利用者にとって、かつて支店で待たされることは大きな苦痛だったが、24時間営業のテレフォンバンキング、インターネットバンキング、モバイルバンキングの登場により、待ち時間は大きく短縮された。現在も、利用者がより短い時間で求めるサービスにたどり着けるよう、改良が加え続けられている。
インターネットショッピングのような「セルフ型」のサービスが急速に普及している。金融業界においても「セルフ型」への潮流が存在する。なぜなら、セルフ型金融により、利用者はサービスを提供する拠点から完全に解放されるからである。
インターネットバンキングは金融コンサルタントを家のモニターの前に呼ぶようなものであり、モバイルバンキングはそのコンサルタントをどこへでも連れていけるようなものだ。最近では、モバイル端末の機能向上にともない、インターネット通信ができればどこからでも送金ができるし、端末のカメラを通して二次元コードを読み取れば即時決済で買い物をすることもできる。まさに「指先の上の銀行」なのだ。
オンライン決済の発展は、インターネットショッピングの成長と共にある。アメリカ最大の決済プラットフォームであるPayPalは、電子商取引サイトのeBayの決済に利用されたことで大きなシェアを獲得したのは有名だ。
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