データ分析という言葉は大辞林にも載っていない。データと分析という2つの言葉の意味を合わせると、データ分析とは、「データから問題を解明するプロセス」ということになる。データを集めて、数値計算をし、その結果を解釈して問題を明らかにするというステップを踏む。問題を明らかにするところに達する意図がなければ、データ分析とは呼べない。
一方で、データ分析の手法や問題領域は全く限定されない。データ分析手法が統計でも、数理計画でも、数値シミュレーションでもよければ、問題領域が顧客選別になっても、顧客離脱予測になっても、投資判断になってもいい。ただ、どんな手法や問題領域を定めても、データを解釈して問題を明らかにするプロセスを構想する力がなくては、データ分析により価値は生まれない。
データ分析に興味を持つ多くの人が、テクノロジーや分析手法のことをデータ分析だと誤解しがちである。例えば、「データ分析=数値計算」だと考える人や、成果を得ることよりもテクノロジーや手法を使うことに価値を感じる人がいる。しかし、テクノロジーや手法といったツールだけで、データ分析ができるわけではない。テクノロジーや手法が発展した現在は、インターネットで国勢調査などの情報を得ることや、エクセルで簡単にグラフ化することが可能になった。データを集めて計算する処理能力よりも、どのような分析をするかを考える構想力が問われている。
そもそも、分析が生む価値とは何だろう。「意思決定を改善するために、その分析が果たした効用」こそ「分析の価値」だといえる。さらに分解すれば、「意思決定への寄与度×意思決定の重要性=分析の価値」だ。
意思決定とは、経営や営業など、ビジネスにおけるあらゆる領域で決断を下すことを指す。例えば、賃貸マンション投資において入居率を予測するとしよう。この時、入居率を予測することで投資判断の材料にしてもらうとする。賃貸価格や不動産価値など他にも予測が必要な項目がある中、入居率予測がどれだけ重要な判断材料になり得るのか。
3,400冊以上の要約が楽しめる