技術革新により、AIが登場し、進化を続けている。人間の成長スピードを上回ってアップデートしているAIと共存するためには、AIを知り、自分を知り、人間らしく夢を実現していかなければならない。そのためには、継続的な「人生を通した学び=Lifelong Learning」が大切である。
しかし残念ながら、日本ではまだ、「人生を通した学び」は一般的であるとはいえない。OECD各国における25歳以上の大学への入学割合についてのデータによると、アイルランド、ニュージーランド、スウェーデンがそれぞれ32%、27.7%、25.9%という数字で上位を占めている。一方、日本の25歳以上の大学入学割合は、1.9%に過ぎない。
さらに、日本で「人生を通した学び」というと、趣味的な勉強のイメージが強いかもしれないが、生きていく上で必要になる実学を学んでいくことも、これまで以上に必要となっているのだ。
「学ぶ」とは、そもそもどういうことだろうか。
学びの本質について、著者は福沢諭吉の『学問のすすめ』を参照している。『学問のすすめ』が書かれた明治維新前後の情勢は、現代社会の情勢とどこか重なるからだ。『学問のすすめ』には、実生活、経済、世の流れを察知すること、どれもが「学問」であると書かれている。先の見えない激動の時代に生きたからこそ、福沢は、自分のすべきことを見極め、他者と関わりながら平和な世の中をつくり、幸せな生活を送ることが学問の目的だと述べた。
また、そのような「実学」以外に、いわゆる「教養」も大切である。
著者は海外で行われたミーティングに出席した際、外国のビジネスマンから日本の文化や歴史について訊かれことがあった。英語の能力以前に、著者が知らないことや考えたこともないことを質問されてしまい、冷や汗をかいた。つまり、自分の国のことを語れなければ、優秀なビジネスパーソンとみなされないということである。教養もしっかり身につけることが、本来の意味での「実学」を学ぶことであり、広い視野やクリエイティビティを養うことであるのだ。
『学問のすすめ』が書かれた明治時代に突如やってきた黒船のように、私たちの生活はAIに代表される技術によって激変しようとしている。
Googleの創業者ラリー・ペイジは、近い将来、10人中9人は今とは違う仕事をする時代が訪れるだろうと述べた。
3,400冊以上の要約が楽しめる