過去数十年で、時代はアナログからデジタルの時代へと移行してきた。カメラはフィルム方式からデジタルカメラへ、音楽はレコードからCDそしてダウンロードやストリーミングへ、本も紙の本から電子書籍へと、デジタル化への道を歩んでいる。
このデジタル化には様々なメリットがある。最大のメリットは、情報が蓄積・保存・伝達しやすくなることだ。このデジタル化のメリットを生かして多くの産業やビジネスが発展してきている。
デジタル化によって、日常生活にも「シェア」するというライフスタイルが、急速に広まった。例えば、写真はデジタル化することで、旅行中でもスマホからSNSにアップし、大勢の人とスピーディーにシェアできるようになった。
また、モノを所有するのではなく、空いているものや余っているものを、シェアして有効活用する「シェアリングエコノミー」も世界的に拡大しつつある。
このデジタル化の波は、次に「IoT」という変革を引き起こしている。そして、このすべてのモノがインターネットへと繋がるIoTの時代が、「電気のデジタル化」の幕開けへとなる。
電気のデジタル化とは、電気の流れ方や流れる量、つまり「電気利用情報」がデータ化・数値化されるということだ。現状では電気利用情報は、月単位でしか計測していない。しかしこれを、デジタル式電気メーター「スマートメーター」を用いることで、リアルタイムにきめ細かく取得できるようになる。これが電気のデジタル化なのだ。
スマートメーターは、2016年4月の電力自由化にともない、普及し始めている。大きな特徴は、検針員による検針作業が不要で、自動検針が可能なことにある。他にも「双方向通信機能」で、新しい技術やサービスと繋がるメリットもある。
電気利用情報は30分ごとに取得できるので、電力自由化を契機に新しい料金メニューが出てきている。例えば、安い夜間電気だけ買う、のようなユーザーのライフスタイルやニーズに対応したメニューが選べるのだ。今後は、電気取引市場の電気代に連動した「市場連動プラン」などが登場する可能性も考えられる。
今後、スマートメーターに対応する家電が登場すると、家電機器ごとに電気利用量が分かるようになる。また、どの家電がどのタイミングで使われたか、人の生活や行動の記録「ライフログ」が分かる。これにより、子供や高齢者の見守りサービスにも役立つだろう。一人暮らしの高齢者なら、そうした情報が遠隔地にいる家族や医療機関に通知されるようなシステムも始まるだろう。
スマートメーター、スマート家電、家庭用電力管理システム(HEMS)、IoTの連動によって、その人の電力使用状況つまり生活スタイルが、すべて「見える化」できるのだ。
電気利用情報を細かくデータ分析すると、
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