SOLO TIME(ソロタイム)

「ひとりぼっち」こそが最強の生存戦略である

未読
「ひとりぼっち」こそが最強の生存戦略である
SOLO TIME(ソロタイム)
「ひとりぼっち」こそが最強の生存戦略である
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「ひとりぼっち」こそが最強の生存戦略である
出版社
出版日
2017年06月12日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

精神科医、コメンテーター、著者などマルチに活躍する名越康文氏がメールマガジン「生きるための対話」で連載していた記事が、大幅な改稿のもと、満を持して一冊の本となった。

本書のテーマは「ソロタイム」。私たちは日々、人間関係を維持するために多大な労力を費やしている。他人の声を気にするあまり疲弊したり、時に虚無感を抱いたりもする。そんな時、日頃の人間関係からいったん離れて「ひとりぼっち」の時間(ソロタイム)を過ごすことで、プレッシャーから解放され、本当の自分と向き合えるようになる。

本書は、私たちが普段どれだけ周囲の人間関係に依存し、それらに影響を受け、他人のために生きているかを気付かせてくれる。また、自分の本心と感情との関係や、心と身体の関係、自分と他人との関係に関する深い学びをもたらしてくれる。平易で優しい語り口調で書かれた文体は非常に読みやすく、まるでカウンセリングを受けているかのような気持ちになることだろう。さらに、「旅に出るか、掃除をする」「怒りは小さいうちにとり払う」「朝の時間をうまく活用する」など、ソロタイムを楽しみ、心を平静に保つための具体的なアドバイスも数多く紹介されていて実用的だ。

本書を読み進めると、自然と背筋が伸び、ゆったりと深呼吸している自分に気付く。やがては、本書を読んでいる時間がすでに「ソロタイム」なのだということに思い至るだろう。心にモヤモヤを抱えている方、本来の自分を見つめ直したい方にぜひお薦めしたい。

ライター画像
山田宗太朗

著者

名越 康文 (なこし やすふみ)
1960年、奈良県生まれ。精神科医。相愛大学、高野山大学客員教授。専門は思春期精神医学、精神療法。近畿大学医学部卒業後、大阪府立中宮病院(現:大阪府立精神医療センター)にて、精神科救急病棟の設立、責任者を経て、1999年に同院を退職。引き続き臨床に携わる一方で、テレビ・ラジオでコメンテーター、映画評論、漫画分析など様々な分野で活躍中。著書に『心がフッと軽くなる「瞬間の心理学」』(角川SSC新書、2010)、『毎日トクしている人の秘密』(PHP、2012)、『自分を支える心の技法 対人関係を変える9つのレッスン』(医学書院、2012)、『驚く力 さえない毎日から抜け出す64のヒント』(夜間飛行、2013)、『『男はつらいよ』の幸福論 寅さんが僕らに教えてくれたこと』(日経BP社、2016)などがある。夜間飛行よりメールマガジン「生きるための対話」、通信講座「名越式性格分類ゼミ(通信講座版)」配信中。公式サイト http://nakoshiyasufumi.net/

本書の要点

  • 要点
    1
    より良く生きるためには、普段自分が属している群れから離れ、ひとりぼっちの時間「ソロタイム」を持つことが重要である。
  • 要点
    2
    群れの価値観や常識からいったん手を放すことで、大きな決断の際にも平常心を保つことができ、本来の自分を見つめ直せるようになる。
  • 要点
    3
    ソロタイムを楽しめるようになってこそ、他人との本当の繋がりを感じられる上に、真に他人に貢献することができる。

要約

ソロタイム

私たちは群れの中で生きている

現代社会では、高度なコミュニケーションスキルが当たり前のように求められる。しかし、そうした状況は時に人を疲弊させる。誰にでも、ふと心の中がからっぽになったような、空虚な気持ちになることがあるのではないだろうか。

インターネットやSNSの発達によって、いつでも誰とでも繋がれるようになった。しかし、だからこそ、そうした繋がりの豊かさは、人々に常に空気を読むことや高度なバランス感覚を要求する。心の虚しさを埋めるどころか、逆にそれを深める要因になっている。

こうした社会では、普通に生きるだけで疲れ果ててしまっても不思議ではない。多くの人は、人間関係の維持に膨大なエネルギーを使うことによって、満たされた人生を送るチャンスを逃してしまっている。そんな現在、より良い人生を送るには、日頃の人間関係から切り離された「ひとりぼっちの時間」(ソロタイム)が重要となる。

何が私たちを疲弊させるのか
gpointstudio/iStock/Thinkstock

私たちを疲れさせるものは何か。それは心の中に棲む他人である。「あの人は私のことをどう思っているのか」と、他人からの評価やフィードバックを気にしてしまう。その理由は、私たちが「群れ」の中で生きているからだ。

家族からの期待、仕事での責任、社会常識や慣習。こうした様々な他人の声が、やるべきこと、やってはいけないこと、あるべき自分などを私たちに押し付けてくる。私たちが自由意志だと思っているものは、実は群れの価値観や慣習に大部分が規定されている。群れの中にいる時間(ソーシャルタイム)の間、私たちはそうした周囲の声から逃れられない。

しかし、ひとりぼっちの時間を過ごすことで、日頃の様々なプレッシャーから解放され、客観的に自分を見つめ直すことができる。

LonelyではなくAlone

ソロタイムは寂しさとは無縁なものである。もし「ひとりぼっち」でいることに孤独や寂しさを感じるのならば、それは群れに対して依存心を抱えているからにすぎない。会社や家族、友人といった、今自分が属している群れを失う恐怖が、孤独を感じさせるのだ。よって、ソロタイムとはLonelyではなく、Alone(独立)のニュアンスに近い。むしろ、群れの中で過ごすストレスから解放された、さわやかなひとときである。

そもそも、群れとは幻想によって成り立っている。会社や国家、あるいは家族でさえも、必ずしも生物学的な根拠があるわけではない。これらの幻想を共有することによって、人間は複雑な組織を作ることができるわけだが、その一方で、群れという幻想は常に変化し続けている。今自分がいる群れがどれほど心地よいものだとしても、転職や退職、子どもの独立など、ライフステージの変化によって、それはいずれ失われてしまう。よって、群れの中で自分の居場所を確保すること以上に、本当にそれが自分にとって最優先すべき課題なのか、と自分に問うことがより重要になる。

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要約公開日 2017.10.13
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