著者二人は「モバイルボヘミアン」という生き方を提唱している。「モバイル」とは「動ける、移動型の」という意味があり、「ボヘミアン」とは「古い慣習にとらわれない人、自由奔放に生きている人」のことだ。これらの意味をもとに、モバイルボヘミアンは、旅するように働き、暮らす、自由な生き方を指す。
特徴的なのは、自分の好きなことをライフスタイルの中心に据えることである。仕事と遊びの垣根をなくし、自分らしくいられる時間をできるだけ長くもつことをめざす。同時に、モバイルボヘミアンは、仕事、表現、生活のクオリティを極限まで引き上げるための考え方とも言える。
時間は有限である。仕事が忙しすぎて自分の時間がない、というのは本末転倒だ。好きなことを仕事につなげ、好きな場所で仕事をすることで、自分の「自由な時間」が取り戻せるだろう。
もちろん、著者二人は「モバイルボヘミアン」という生き方を忠実に真似する必要はないと述べている。モバイルボヘミアンは自由に生きるための方法の1つであり、万人に通用する絶対的な解ではない。ここで著者たちが言いたいのは、従来の働き方から解放され、自由に生きることが可能であり、それは人々が思っているよりも難しくないということだ。
重要なのは、「やりたいことを自由にやる生き方」を自ら考え、選ぶことだ。現代は昔に比べて多くのことが可能になった。これからの10年は、さらに大きな変化があるかもしれない。
今この瞬間に「できる・できない」はそれほど重要ではない。将来自分がどう生きていたいのかを考えるよう、著者たちは提案する。
iPhoneやMacBookにインターネット。こうしたモバイルテクノロジーによって、私たちは「時間」「場所」「会社」「収入源」という4つの制約から解放された。
これまで働く場所は、会社という決まった場に限られていた。しかし、スマートフォンの普及によってどこでも仕事ができるようになった。次に、解放されたのは時間だ。スマートフォンがあれば、パソコンの前で一定時間過ごさなくても、スキマ時間に仕事ができる。
場所と時間から解放されると、今度は個人が「会社」から解放される。オフィスも固定されたチームも不要となり、会社というあり方自体が流動的になっていく。今後は、経営者が社員を雇わなくてもいい時代が来るかもしれない。そのときどきで必要な人材を集めて、プロジェクトごとに協力していけばいい。すると、個人が会社に所属する必要はなくなるのだ。
時間、場所、会社から解放されると、人々は「1つの収入源」からも解放される。1社にしか所属していなければ、当然収入源は1つだけだ。しかし、働く人が会社から解放されると、個人が複数の顧客を相手に仕事を手がけて、複数の収入源を確保できるようになる。
しかも、現在はモバイルテクノロジーを使えば、誰でも気軽に稼ぐことができる。会社員がスキマ時間に収入を得ることはすでに当たり前のこととなりつつある。現に政府も、「正社員の副業を容認する」という流れを後押ししている。副業はやがて、単純に小遣いを稼ぐといった「副」ではなく、複数の「複」業になっていくだろう。
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