いま東京では、新築も中古も価格が上昇している。さらに上がることを予想した人たちの購入意欲も高まってきている状態だ。
そこで重要になるのが「物件を見る目」である。どんな家をいつ、どこに、いくらで買うかによって、人生の明暗ははっきりと分かれてしまう。ではいつ購入するべきなのだろうか。
一般的にいうと、買い時とは不動産の価格が安く、金利が低く、税制優遇などの外部環境が整っているタイミングを指す。この一般論に照らし合わせると、2020年の東京オリンピック開催を控える現在の東京は、資産インフレが起こり、不動産価格が値上がりする可能性が高い。にもかかわらず、いまのところまだ極端に価格は高騰していない。そのため税制優遇の実施や史上最低金利を考慮すると、おおむね買い時だといえる。
ただし本当の買い時は、一般論とは異なるものだ。安定収入の見通しがついており、外部環境が整っている時、住みたい場所で住みたい家と出会った時が、本当の買い時である。
物件購入でもっとも重要となる、家選びのコツを具体的に見ていこう。幸せになる家選びには、3つの押さえるべきポイントがある。
(1)資産価値:いざとなれば、すぐ「売れる(いつでもお金に換えられる)」「貸せる(比較的すぐに収益を得られる)」
(2)安全性:「命」「資産」を守るために、災害などが起きても安全な場所・建物
(3)利用価値:「住み心地」「居住性」「利便性」など、不動産を利用する自分にとっての価値
これらのポイントは非常にシンプルだが、家選びを成功させるためには欠かせない。
逆に物件購入で損をする人は、「一生住み続けるつもり」で家を買うケースが多い。売却する時のことを考えずに、家選びを行なっているのだ。しかもそういう人ほど、「どの土地でどんな物件を買っても、購入時と同額で売れるわけがない」と思いこんでいる。
家選びで失敗・転落していく人のほとんどは、「資産価値」「安全性」を重要視せず、住み心地や居住性といった、自分にとっての「利用価値」のみを基準に物件選びをしている。このことも合わせて覚えておきたい。
具体例を挙げよう。Aさんは、駅から徒歩16分に立地する4LDK・81平方メートルのマンションを所有している。妻の実家が同じ埼玉県にあることが決め手となったという。新築購入時の価格は3500万円で、住宅ローンの残年数は20年だ。
対するBさんは、駅徒歩4分の立地で、5階部分・60平方メートルのマンションを所有。緑の多い低層住宅地が好みの夫、都心派で利便性がよく子どもの教育環境を重視した妻の意見が一致し、文京区の築7年の中古マンションを4380万円で購入した。
約10年後、AさんもBさんもマンションを売却することになったのだが、結果は大きく分かれた。Aさんが所有するマンションの売却金額の査定は1800万円程度。賃貸は借り手がつかないといわれ、途方に暮れることに。対するBさんは、販売スタートから半月経たないうちに、購入時とほぼ同額での売却に成功した。
両者のもっとも大きな違いは、「資産価値」を重視したかどうかである。Aさんは、「利用価値」を最優先に物件を選び、「資産価値」を念頭に置いていなかった。一方でBさんは「資産価値」にも重きを置いていた。これが後の成功につながった。
たしかに郊外のマンションは都心のマンションに比べ、購入価格の安い物件が多い。しかし価格が下がる可能性も非常に高い。価格が落ちない家を選ぶためには、将来をきちんと考え、少し価格が高くても購入後に価格が落ちにくい「いい物件」を選ぶことが肝要である。
東京の街を価格・賃料の高低で見た場合、おおむね「4つのエリア」に分けられる。
(1)低・低エリア:買うのも借りるのも安い
東京東部の低地エリアや郊外エリアなど。価格がリーズナブルで、賃料も比較的低い。
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